マンションに下落圧力、日銀長期金利操作はローン金利押し上げか

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  • デフレなのに金利上昇は「死にに行くパターン」とドイツ証の大谷氏
  • フラット35は2年後に2%程度に上昇の可能性-クレディ・スイス証
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行が新たに導入した長期金利操作は、不動産市場に大きな打撃になるとの見方が専門家の間で出ている。住宅ローン金利が上昇してマンションなど住宅価格の下落懸念が高まり、日銀が望むインフレ期待とは逆の方向に向かう可能性があるという。

  一時低下していた超長期債利回りは、上昇基調にある。20年債と30年債が9月21日以来、40年債が同月16日以来と、長短金利操作を決めた前回の日銀の政策決定会合前の水準付近まで戻している。新たに操作対象となった10年債利回りは決定会合後、一時プラス圏に出た後は0%とマイナス0.1%間のレンジで推移している。

  日銀は9月21日の決定会合で、短期の政策金利はマイナス0.1%を維持しながら、新たに10年物国債利回りをゼロ%程度に誘導する「イールドカーブ・コントロール」を導入。これを受け10月の国債買いオペも超長期債の減額を打ち出した。黒田東彦総裁は最近、保険・年金の運用難などマイナス金利の弊害にも触れており、利回り曲線を傾斜化させ、年限の長い国債利回り上昇を容認すると市場関係者はみている。

千葉県内のマンション群

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  クレディ・スイス証券の望月政広アナリストは、「住宅ローン金利は今後、上昇する可能性がある」と指摘。住宅金融支援機構の長期固定型「フラット35」の適用金利について、「2年後くらいには2%程度になっている可能性もある」とみている。ドイツ証券の大谷洋司アナリストも「デフレが進む中での金利上昇は不動産市場にとり、ネガティブ。死にに行くパターンだ」と語った。

  フラット35の適用金利(返済期間21年以上35年以下)は10月、年1.060ー1.610%となり、2カ月連続で上昇。同機構の広報グループ、麓裕樹氏は「具体的なことは答えられないが、長期金利(10年国債利回り)も勘案して設定している」と述べた。

ダブルパンチ

  ドイツ証の大谷氏は、新築マンション価格は節税対策の高額物件が押し上げていただけで、一般世帯の需要はすでに冷え込んでいたと指摘。住宅ローン金利の上昇が購買意欲の後退に追い打ちをかけ、中古も含めマンション価格は「2016年から18年の3年間で2-3割下がる」とみている。

  需要冷え込みの背景にあるのは、所得が伸び悩む中、マンション価格の上昇が続いたことがある。不動産調査会社の東京カンテイの7月の調査では、15年の新築マンションの年収倍率(マンション価格と年収の比較)は全国平均で7.66倍と6年連続で拡大、92年当時を上回った。東京都の倍率は11.30倍。

  中古マンション調査の東日本不動産流通機構の資料によると、16年4-6月に首都圏で成約した中古マンション価格(平方メートル単価)は前期比で12 年7ー9 月期以来、約4年ぶりに下落した。新築マンションは販売が低迷し、今年1ー8月累計の契約販売戸数はバブル経済崩壊後の1992年以来の低水準だった。不動産経済研究所のまとめでは8月の首都圏の新築マンションの販売契約率は好不調の目安とされる7割を3カ月連続で下回った。

  クレディ・スイス証の望月氏は、新築マンションの発売戸数も減少が続くと予想する。不動産経済研究所の予想では16年の首都圏の年間供給は約3.7万戸とリーマンショックが直撃した09年以来の3万戸台に落ち込む見通しだが、「17年も4万戸に届かないだろう」とみている。

  「マーケットはデフレが再加速すると認識している。そこでイールドカーブを立たせるというのは矛盾することだ。マイナス金利政策なのに長期は金利を上げるというのは訳が分からない」。ドイツ証の大谷氏は、こう話している。

(第7、10段落を追加しました.)
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