量的緩和策進める日銀とECB、弾切れが心配で打開策模索

  • インフレ目標未達の下、施策の持続可能性が課題に
  • 迷路からの「出口」確保、コミュニケーション方法も心配の種

世界で最も緩和的な金融政策を講じているといえる中央銀行のうち2つが、債券購入の「迷路」からいかにして活路を開くべきか、検討に入った。

  量的緩和(QE)の下での資産購入を打ち切って久しい米連邦準備制度は、既に利上げに着手しているが、日本銀行と欧州中央銀行(ECB)の場合、消費者物価の伸び加速に向けた大規模なQEに引き続き頼っている。

黒田日銀総裁とドラギECB総裁

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg *** Haruhiko Kuroda; Mario Drahgi

  だが、以前にうまく機能したからといって、それが永遠に続くわけではない。QEのかつての輝きはその副作用が顕著になるにつれて色あせつつある。副作用とは、金融の安定性をめぐる懸念や銀行収益の圧迫、そして特に、買い入れに適した十分な規模の資産を見つけるのが単に難しくなっているという事情だ。

  日銀がQEを持続可能とするため政策枠組みを転換する一方、ECBは必要な限り活用し続けることができるようにするため、QEに関する規則を調整するための方策の考案をスタッフに指示した。日銀、ECBの双方ともインフレ目標達成には程遠く、QEをこれからも長く使えることが理想だが、できることには限界がある点を当局者自身が自覚しているとの兆候も濃厚となりつつある。

  HSBCホールディングスのアジア経済担当共同調査責任者フレデリック・ニューマン氏(香港在勤)は「われわれが知っているようなQEは、のりしろが少なくなってきた」と指摘。「買い入れるための債券は無限ではなく、投資家は市場にまだある債券を中銀に譲渡したがらなくなっている」と語った。

軸足転換

  ECBでは、QEを終了させる方法として、突然の打ち切りではなく、段階的に購入規模を縮小していく「テーパリング」が取り上げられている。これは、そのような措置のタイミングについて何かを示すものでなく、政策委員会の正式な議題にもこれまでのところ上っていない。それでも、出口戦略をめぐって非公式のコンセンサスが形成されつつあるという事実は、債券買い入れを進めることに一部の当局者が食傷気味であることを反映している。

  発行済み国債の3分の1余りを保有する日銀の黒田東彦総裁は、債券の買い入れ増額からイールドカーブ(利回り曲線)の操作に金融政策の軸足を移した。この動きを一種のテーパリングと解釈することは可能だが、日銀の超緩和的な金融政策が近いうちに終わるとの予想はほとんどない。

  日銀とECBにとって、刺激策を拙速な形で、もしくは全く引き揚げることはないと、神経質になっている投資家に納得させるのが、コミュニケーションに際しての課題だ。ECBのテーパリング案に関するブルームバーグ・ニュースの報道が伝わると、欧州市場で株価や債券相場が下落。2013年に米連邦準備制度が資産購入の規模縮小の用意を示唆して債券相場急落を招いた「テーパー・タントラム」と同様の展開となった。

  ソシエテ・ジェネラルのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、クラウス・バーダー氏(香港在勤)は「テーパリングは金融政策が引き締められることを意味するものではない」とし、「それは一段と緩やかなペースで緩和されるにすぎない」と指摘。

  その上で同氏は「金利が低下すればするほど、経済への影響は小さくなると見受けられる」と述べ、「QE拡大の効果が時間の経過とともに弱まっていくことは極めて明確だ」とコメントした。

原題:Central Banks on QE Highway Worry About Running Out of Road (1)(抜粋)

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