デフレ環境を知恵で乗り切れ、小売決算に明暗-イオンは赤字転落

消費者の財布のひもは固く、日本の小売業界は販売価格を抑えるほかない状況に置かれているが、知恵を絞って利益を拡大させている会社もある。

  しまむらの今期(2017年2月期)上期の純利益は前年同期比46%増の167億円となり、市場予想を上回った。決算資料によると、主力事業の収益力を上げるため、コア商品に新しい販売方法を提案するとともに、プライベートブランドを「クロッシー」に集約して認知度を高めた。婦人衣料、実用衣料については最適配置を研究し、買いやすさを工夫したとしている。

  「お客様が節約指向一辺倒だったころから、商品に対して興味を持つようになった。これがアベノミクスの一番のポイント」としまむらの野中正人社長は3日の決算記者会見で指摘。「価値に見合った価格がきちんとあって、なおかつタンスにないものを提案していけばお客様は手に取ってくれる。提案できなければお客様は手に取ってくれない。このシビアさはかなり厳しくなっている」と述べた。

  8月の消費支出が前年同月比4.6%減と6カ月連続で減少しており、個人消費の弱さが目立っている。同月の小売販売額も前月比1.1%減で、小売業界を取り巻く環境が厳しいことをあらためて裏付けた。

ベーシック

  「消費者の所得は横ばいで、日常品やベーシックなものにはお金をかけないようにしている」と野村証券の正田雅史アナリストは電話取材に話した。その上で「ベーシックラインの品は低価格でないと厳しい」と指摘した。

  家具販売のニトリホールディングスは「お、値段以上。」というキャッチコピーを掲げて販売の拡大を目指している。同社の上半期の純利益は前年同期比43%増加。消費者心理がより安い物へと向かう中で、ニトリの戦略が奏功したと広報担当者は説明する。

  一方で、スーパーマーケットを展開する平和堂の上期は営業利益が67億円と、前年同期から8.2%の落ち込みとなった。経営企画課長の奥岨篤史氏は、5月ごろから消費者の節約指向が強まっており、関心が「低価格の所にシフトされてきている」と指摘した。

  イオンは上期の純損益が54億円の赤字に転落した。同期の赤字は7年ぶり。総合スーパー事業で183億円の営業損失を計上した。岡崎双一執行役は5日の会見で「価値訴求に注力していたことを反省している」と話す。「デフレ懸念があり、子育て世代の客離れが起きている。一番売り上げが減ったのが家庭用洗剤やシャンプーで、明らかに価格で勝負の部分だ」と述べた。

シビアな買い方

  百貨店業界も苦戦している。大丸や松坂屋を傘下に持つJ.フロントリテイリングは4日、今期の営業利益見通しを従来の500億円から450億円に下方修正した。

  Jフロントの山本良一社長は会見で、海外観光客の客単価の落ち込みや国内富裕層の高額品売り上げの低迷のほかに、中間層の消費の厳しさに言及。「20-30代の若者の減り方が少し大きい」と述べ、「消費税増税以降、非常にシビアな買い方をしている。いろんなチャンネル、ネットなどに分散している可能性がある」と指摘した。

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