日本株の主要株価指数が年初来マイナスで推移する一方、中小型株の新興市場は依然として堅調だ。このようななか、ジャスダック市場の主要銘柄で構成するJ-Stock指数を主要投資対象としたファンドは、日本株成長型のファンドカテゴリーでトップパフォーマーとなっている。

  大和住銀投信投資顧問の追加型日本株投資信託「J-Stock アクティブ・オープン」は年初来リターンが16%(10月6日現在)で、ブルームバーグのファンド分類による成長型ブロードマーケットの日本株ファンドで首位。同ファンドは日本株投信全体でも2位につけている。J-stock指数は年初来2.9%高と、ジャスダック指数のマイナス1.3%、TOPIXのマイナス13%を上回るが、同ファンドを運用する苦瓜達郎シニア・ファンドマネジャーはブルームバーグのインタビューで、「忘れられた指数。気にしている人間は日本で私だけではないか」と話した。

  苦瓜氏は「アベノミクス初期は何でも上がったが、2015年から16年前半は小型成長株の時代」と振り返ったうえで、同ファンドは株価収益率(PER)などバリュエーション面で割安な銘柄を選ぶバリュー投資のため、「7月以降、日本株市場がバリュー相場に転換し、私のストラテジーをフォローする形になった」と好成績の要因を説明した。

  日本株市場では為替が円高に振れた15年半ばごろから、内需グロース株が買われて金融などのバリュー株はアンダーパフォームしていた。しかし今年7月ごろからは、日本銀行がマイナス金利の深掘りをしないという思惑などで流れが変わった。TOPIXのバリュー指数はグロース指数を7、8月と2カ月連続でアウトパフォームし、J-Stockの中でも割安な銘柄を多く組み入れている同ファンドをサポートした。「投資スタンスはぶれていないが、相場がボックス圏の中で激しく上下し、結果的に短期売買の形となって利益が得られることもある」と苦瓜氏は言う。

MSCI日本バリュー株をMSCI日本グロース株で除した値
MSCI日本バリュー株をMSCI日本グロース株で除した値

  同ファンドの投資銘柄は、ジャスダック銘柄のうち売買代金と時価総額の上位約100銘柄からなるJ-Stock指数から選んだ銘柄が50%を占める。そのほか約40%が同指数に属さないジャスダック銘柄、4.6%がマザーズ銘柄で、8月末現在の銘柄数は49。純資産総額は4億円。ジャスダック市場はマザーズ市場と比較して割安に放置されている銘柄が多く、「華々しく成長するのは難しくても、中長期で信頼のおける利益を稼ぎ続けるニッチ企業が多い」と苦瓜氏は話す。さらに「上がると思って持っている人がいないから失望売りがない。安い銘柄を買えば、下がらなくて時々上がるためトータルでうまくいく」のだという。

J-Stock アクティブ・オープン
J-Stock アクティブ・オープン
Source: Daiwa SB Investments)

  組み入れ銘柄上位には、フォトマスク製造のエスケーエレクトロニクスや照明器具のオーデリック日特エンジニアリングなど、電機や機械株が並ぶ。ヤフーや楽天などがジャスダックから東証1部に市場変更し、残った銘柄では電機株に魅力的な企業が多いと苦瓜氏はみている。これまで「内需成長株一辺倒のような相場だったので、ソフトウエアや小売りが非常に割高になってしまった」といい、バリュエーション面からも電機株は有望だったという。

  ことし前半のグロース相場では、16年1月期営業利益が前の期の2倍を超えたトリケミカル研究所やジャスダックから2部、さらに1部へと市場変更したローツェなど、J-Stock以外のジャスダック銘柄から選んだ半導体関連株が基準価額の上昇に寄与した。半導体関連は「少し時流と外れていたので割安で買えた。グロースの端くれとしてスポットライトが当たりやすかった」という。

  苦瓜氏はバリュー株優勢の流れは今後も継続するとみている。「グロース相場が2年ほど続き、不自然な相場。調整したといっても、グロース株のバリュエーションが安いかというと全然そうではない」ことを挙げた。日銀の金融緩和政策はグロース株優勢の流れの一因となったが、市場はすでに日本銀行への期待を持っておらず、バリュー株に有利とみる。

  苦瓜氏は年間800社、1日3社ほどの企業の経営者や担当者と会い、利益や人事について直接話を聞く。小型株のファンドマネジャーにとって「会社の人に会うということが結局コアになる」のだという。初めて取材する企業には沿革から聞き、その会社が「何者か」を見極める。大和総研での小型株アナリストなどを経て、02年に大和住銀投信に移籍しJ-Stockファンドの設定時から運用を担当する。

  7日のJ-Stock指数は前日比0.6%安の2352.34と続落。3日を直近高値に調整局面にある。

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