見習いから世界最大の宝飾品店チェーン総帥に-香港の鄭裕彤氏死去

  • 周大福や新世界発展を率いた香港の実業家
  • 15歳で販売店の見習いになり、香港有数の資産家に

金の販売店での見習いからスタートし、その店のオーナーの娘と結婚。世界最大の宝飾品店チェーン、周大福珠宝集団を築いた香港の鄭裕彤氏が死去した。91歳だった。

  遺族が電子メールを通じて発表したところによると、鄭氏は9月29日夜、家族が見守る中で亡くなった。安らかな最期だったという。

周大福の宝飾店

Photographer: Billy H.C. Kwok/Bloomberg

  複合企業の長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)を率いる資産家、李嘉誠氏と同様に、鄭氏も旧日本軍の侵攻から逃れ中国本土外で大きな成功を収めた。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、鄭氏は香港実業家の資産ランキングで3位。自身が率いる周大福と不動産開発の新世界発展での持ち分を通した純資産は127億ドル(約1兆3000億円)と推計されている。

  香港のハンセン銀行(恒生銀行)元副会長で友人だった柯清輝氏は2012年9月のインタビューで鄭氏について「生まれながらの企業家」だったとコメント。鄭氏の事業と投資における決断は「積極的だが、厳しい時期にも見事に当たった」と述べた。

  周大福は中国本土と香港で2000店余りを展開。直近年度の売上高は同業の米ティファニーに比べて70%強多かった。

  1925年8月26日、広東省順徳で生まれ、40年に日本との戦争から逃れるためマカオに移った。家族ぐるみで付き合いのあった周至元氏が経営していた金の販売店見習いが、鄭氏の最初の仕事。15歳だった。3年後に両家の父親の手配で鄭氏は周氏の娘と結婚。周氏は周大福を29年に創業した。

  鄭氏は店舗開設のため46年にマカオを離れて香港に渡った。香港の人口急増とともに事業は波に乗り、周大福は2011年12月に香港市場で新規株式公開(IPO)を果たした。その2カ月後、鄭氏は同事業からの引退を表明した。

原題:Cheng Yu-Tung, Hong Kong Jeweler Turned Billionaire, Dies (2)(抜粋)

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