8月消費支出は6カ月連続減、消費者物価も落ち込み続く-生産は好調

  • 東京都区部のコアコアCPIはマイナスに転じる
  • 鉱工業生産はプラス、モデルチェンジでスマホ効果と政投銀・田中氏

8月の消費支出は6カ月連続で減少し、個人消費の弱さが目立っている。消費者物価指数も6カ月連続で下落した。一方、生産は市場予想を上回り2カ月ぶりに上昇に転じた。

  総務省が発表した8月の家計調査によると実質消費支出(2人以上の世帯)は1世帯当たり27万6338円で前年同月比で4.6%減少した。減少幅は前月(0.5%減)から拡大し、ブルームバーグ調査の予想中央値2.1%減を下回った。設備修繕・家賃地代など「住居」が16.8%減、自動車関係費を含む「交通・通信」が7.3%減と減少に寄与した。前月比(季節調整値)では3.7%減少した。

  SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは統計発表後のリポートで「7月に夏物が強かった反動が出ているとみられるが、それを考慮しても弱い」と指摘。現時点で7-9月の消費は横ばい圏のイメージとしながらも「9月は台風が相次ぐなど悪天候に見舞われており、消費が減少に転じるリスクも警戒せねばならない」としている。

  政府・日銀は個人消費の拡大を目指しているが、賃金上昇が伸び悩む中、減少傾向が続いている。一方で、消費者物価も6カ月連続でマイナスとなり、2%の物価安定目標の達成は遠い道のりだ。

  総務省が30日発表した8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.5%低下した。ブルームバーグがまとめた予想中央値(0.4%低下)を下回った。物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)とエネルギーを除くコアコアCPIも0.2%上昇とプラス幅も前月(0.3%上昇)から縮小した。

  ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは発表後のリポートで、エネルギー価格の前年比での影響はプラス方向へと移行しつつあるが、円安コストプッシュの影響がはく落し、テレビなど耐久財価格の前年比マイナス幅が拡大していると指摘。コアCPIは今後緩やかに低下幅を縮小させるものの、コアコアCPIや日銀版コアCPIの「減速傾向は当面続きそうだ」としている。

  野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは東京都区部の9月のコアコアCPIが前年比0.1%低下とマイナスに転じたことから、来月発表の9月の全国コアコアCPIがマイナスになる可能性を示唆しており、「日銀にとっては悪いニュース。次の緩和はいつかという話になりやすい。緩和圧力を高める要因となる」と述べた。

  一方で、8月の鉱工業生産指数(速報値)は前月比1.5%上昇と2カ月ぶりに上昇した。電子部品・デバイスや情報通信機械などがプラスに寄与し、市場予想(同0.5%)を上回った。先行きの予測指数は9月が2.2%上昇、10月が1.2%上昇。経済産業省は基調判断を「生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。

  日本政策投資銀行の田中賢治経済調査室長はリポートで「8月のけん引役は電子部品・デバイス工業で、3カ月連続の増加となった。スマートフォンの世界的な人気機種のモデルチェンジを9月に控え、生産が伸びた」とし、当面、スマホ効果が期待できると予想する。

  総務省発表の労働力調査では、8月の完全失業率は3.1%と前月(3.0%)に比べて6カ月ぶりに悪化した。ブルームバーグの予想中央値は3.0%。厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率は1.37倍と前月と同水準だった。

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