強気相場に潜む恐怖、VIX先物取引が露呈-一部ヘッジファンド利益

  • VIX先物取引は過去最高の1年になる勢い
  • 先物価格が直物を40%上回る、プレミアムは2012年以来の大きさ

比較的落ち着いている市場の水面下で、市場の変動に備えるボラティリティの取引が急拡大している。

  シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティ指数(VIX)の先物を例にとろう。取引高が今月これまでに50%膨らみ、記録更新の1年になりそうな勢いであることを、ブルームバーグ集計データが示している。VIX直物の取引は今月、過去平均を30%近く下回り静かな状況だったが、6カ月物の先物価格は直物を約40%上回った。 この先物プレミアムは8月には2012年以来の大きさに達した。

  ボラティリティから利益を得る米アーテミス・キャピタル・マネジメントにとっては、好ましい展開だ。クリストファー・コール最高投資責任者が運用する旗艦ファンドは今年1-8月の運用成績がプラス16%近く。これに対し、ベンチマークのユーリカヘッジCBOEロング・ボラティリティ指数はマイナス0.7%。

  コール氏は「恐怖が潜む新たな強気相場の中にわれわれはいる。歴史上、2番目に長い強気相場の局面にあるが、これが健全な相場なのか人工的に押し上げられた相場なのかという疑問がある」と語った。

  ボラティリティは29日、注目される動きを示した。VIXが一時27%跳ね上がった一方、米国株は急落。背景にあったのはドイツ銀行の問題が金融セクター全体に波及するとの懸念だった。

  米S&P500種株価指数は今年これまでの高値をつけた時点で年初来上昇率が7.2%。企業収益が減少、エコノミストらが米経済成長率見通しを1.5%に下方修正する中でも上昇基調を保ってきた。9月のVIX先物取引は1日平均27万枚となり、年初来平均を21万枚以上に押し上げた。過去2年の平均は18万2000ー19万枚。

  VIX先物取引急増の背景には、ボラティリティ関連の金融商品市場が成熟してヘッジなどへの活用が増えたことや、投資家が将来の混乱に備えていることなどが挙げられる。

  コール氏は先物プレミアム上昇について、投資家がもはや中央銀行に期待していないからだとみている。米連邦公開市場委員会(FOMC)は年内1回の利上げに向けて準備中のほか、欧州中央銀行(ECB)は金融政策の限界を認識しつつあることを示唆している。

  同氏は「投資家は昨年なら、『心配するな、中銀が助けてくれる。相場が下がり続けるのを放っておくはずがない』と言ったものだが、今年はリスクを認識し、『中銀は10%の値下がりをそのままにしておく可能性があって、こちらはやけどするかもしれないからヘッジしておこう』と言っている」と述べた。

原題:Volatility Hedge Fund Sees Bull Market in Fear as VIX Bets Jump(抜粋)

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