ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行の株主らは、株価が今年50%余り下落した同行を支えるためにドイツのメルケル首相が何をするつもりなのか、手掛かりを探ろうとしている。

  来年の総選挙で4選を目指すかどうか決断の時期を迎えるメルケル首相にとって、ドイツ銀を政府が救済するとの観測は、政治的に有害だ。住宅ローン担保証券(RMBS)に関する調査決着の条件として、米当局がドイツ銀に数十億ドルの支払いを求める中で、公的資金投入の観測には「根拠がない」と首相報道官が政府見解を明らかにした。これに先立つ独誌報道が、救済をめぐる臆測を呼んでいた。

  アリアンツ・グローバル・インベスターズのアンドリアス・ウーターマン最高投資責任者(CIO)は、それで救済観測が沈静化したわけではなく、ドイツ銀が仮に「本当に危険な状態」に陥れば、ドイツ政府は介入せざるを得なくなるとの見方を示す

メルケル首相
メルケル首相
Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

  ドイツ銀のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)は独紙ビルトとのインタビューで、資本調達は「現時点で問題ではない」と述べ、政府の支援を受け入れることは「われわれにとって論外だ」と発言した。

  危機の際に「大き過ぎてつぶせない銀行」の救済費用の負担から納税者を守るため、欧州連合(EU)が導入した銀行破綻処理に関する「銀行再建・破綻処理指令(BRRD)」の下では、政府が銀行を支えることが一層難しくなる。メルケル首相も支持したBRRDの想定では、「特別の公的金融支援」が必要な場合とは、金融機関が「破綻しつつあるか、破綻する可能性が高く」、事業整理の開始につながるケースを意味する。存続可能な銀行への国の支援は厳しく制限され、メルケル首相がドイツ銀のために介入することがあっても選択肢は限られる。

自助努力のモデルはコメルツ銀か

  メルケル首相率いる与党連合の議員らは、ドイツ銀が資本不足のために破綻のリスクに直面する場合は、政府が介入すると予想する。政府が避けたいシナリオについて話すことから連立与党の4人の議員が匿名を条件に語ったところでは、その時点では何らかの国家介入の必要性が政治的影響をめぐる計算に勝ることになりそうだ。一部の議員は、クライアンCEOがさらに努力することを望んでおり、リスク軽減のために業務の再編が必要だと2人の議員が述べ、コメルツ銀行の人員削減プランが一つのモデルになり得ると1人が指摘した。

ドイツ銀の株式を政府が取得することはあり得るか?

  民間投資家も同時に購入し、実勢価格を政府が支払うと仮定すれば、答えは多分イエスだ。BRRDは「特別の支援」について、特定の企業を特別扱いすることで競争をゆがめる国庫補助と定義しているが、EUの行政執行機関である欧州委員会が、ドイツ政府の行動が競争上の基準を満たすと判断すれば、株式の取得は容認される可能性がある。

さらに思い切った行動が必要な場合はどうなるか?

  「特別の支援」が必要になる場合、事業整理を開始することなく存続可能な銀行を支援する選択肢が政府には存在するが、ハードルは高く、加盟国経済の深刻な混乱を収拾し、金融の安定性を維持する目的に限って認められる。予防的かつ一時的であり、沈静化を目指す混乱に比例した規模でなければならず、過去あるいは今後予想される損失をカバーするために利用することはできない。EUの国庫補助ルールの下で、通常は株主と劣後債の保有者に損失負担が求められる。

  これらの基準を全て満たせば、ドイツ銀が新たに発行する債券の保証を政府が提供することも可能になろう。

原題:If Merkel Wants to Help Deutsche Bank, She Has Few Options: Q&A(抜粋)

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