9・11遺族のサウジ提訴可能にする法成立-米大統領の拒否権覆る

  • オバマ大統領は「過ち」だとして、議会を非難
  • 海外駐留米兵や外交官らをリスクにさらす先例になると大統領は警告

2001年9月11日の米同時多発テロに関与したとしてサウジアラビアを提訴することが可能になる法案が28日、米議会で可決した。ホワイトハウスやサウジアラビアは法成立阻止を目指してぎりぎりまでロビー活動を続けたが、圧倒的賛成多数でオバマ大統領が行使した拒否権は覆された。

  オバマ政権は法が成立すれば、外交官ら海外に駐在する米国民をリスクにさらし得る先例になると懸念していたが、テロ犠牲者の遺族の感情を反映する法案を支持する勢いは強かった。下院は賛成348、反対77、上院は賛成97、反対1のそれぞれ圧倒的賛成多数で法案を再可決。拒否権を覆すのに必要な両院で3分の2以上の賛成をクリアした。オバマ政権下で拒否権が覆ったのは初めてで、大統領の署名なしに法成立の運びとなった。

  オバマ大統領は議会でのこの展開を「過ち」だと批判。海外にいる外交官や米兵、企業幹部らは今は国家主権による免責特権で守られているが、今回の法成立を受けて彼らの行動について外国の市民が米国に法的責任を問うようになるかもしれないと指摘した。CNN主催のバージニア州フォートリーでのタウンホールイベントで語った。

  大統領は「危険な先例だ」とし、「つらくても受け入れなければならない措置が時折ある理由を示す例だった。議会はつらい選択をすべきだった」と言明した。

  この結果はまた、サウジアラビアに国際資本市場での初の起債を先送りさせることになるかもしれないと、事情に詳しい関係者2人が述べた。一部投資家が起債に不満を示すとの懸念があるためという。アッサーフ財務相はブルームバーグへの声明で、起債のタイミングや規模についてサウジ当局者はまだ決定していないと説明した。

  法案は上院の共和党ナンバー2、ジョン・コーニン院内幹事と民主党の次期院内総務とされるチャールズ・シューマー議員が中心にまとめ、大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏と共和党候補ドナルド・トランプ氏も支持している。

  法案採決後、シューマー議員は記者団に対し、「こうした状況下で分かったのは、ホワイトハウスと行政は外交の方がずっと気になっているということだ。われわれは家族や正義の方に関心がある」と話し、「政権はこの問題について完全に間違っていると思う」と付け加えた。

原題:Families of 9/11 Victims Can Sue Saudis as Obama Veto Overturned(抜粋)

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