米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は候補者同士による26日夜の第1回テレビ討論会で、米金融当局を標的にした。国民の誰もが注視する討論会で、米国の中央銀行である連邦準備制度が政治的な役割を演じているとして非難した。

  2008年の金融危機時にはウォール街の金融機関救済をめぐる米国民の怒りを一手に引き受けた連邦準備制度を、トランプ氏は米国史上最も注目の高いテレビ中継イベントの一つとされる大統領選討論会で取り上げた。

  トランプ氏は民主党候補ヒラリー・クリントン氏と直接対決した討論会で、「連邦準備制度はクリントン前国務長官以上に政治的だ」と言明し、オバマ政権を良く見せるために低金利政策を続けているとの持論を繰り返した。連邦準備制度理事会(FRB)の「イエレン議長は政策金利をこの水準に維持しており政治的だ」と主張した。

  12年の大統領選では、連邦準備制度やバーナンキFRB議長(当時)が共和党の予備選挙で攻撃の的となることはあっても、同党候補のミット・ロムニー氏と再選を賭けた民主党のオバマ大統領が討論会で話題にすることはなかった。バーナンキ議長時代の08年末からイエレン議長下の15年12月まで米国の政策金利はほぼゼロの状態が続き、同月の引き上げ後の追加利上げは遅れている。

  連邦準備制度の歴史に詳しいペンシルベニア大学ウォートン校のピーター・コンティブラウン教授はトランプ氏が討論会で連邦準備制度を批判したことについて、「問題をすりかえようとしているものだ。経済の改善はトランプ氏の終末論的な世界観に合わない」と指摘。「悲しいことだが、この戦略は金融当局に懐疑的な多くの米国人にうまく働く。だが、過半数の有権者にも作用するかは未知数だ」と解説した。

  クリントン氏はこの日の討論会で金融当局を擁護する発言はしなかったが、今月6日には「大統領候補であろうと大統領であろうと、連邦準備制度の行動にコメントすべきではない」と語り、トランプ氏を戒めている。

原題:Trump Slams Yellen’s Fed Again, This Time on a Much Bigger Stage(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE