永田町はトランプ氏に警戒感-日米同盟「予測不可能」の指摘も

  • 「ヒラリー大統領」なら深化の方向-自民・林芳正氏
  • 「内向き」なアメリカ、日本は大きな図柄描く必要-自民・山口氏

11月の米大統領選は、今後の日米同盟の在り方を占う上で重要な選挙となる。共和党のドナルド・トランプ氏は駐留米軍撤退や日本の核兵器保有の可能性について言及しており、日本の政界で警戒感が広がっている。

  トランプ氏は3月、米紙ニューヨーク・タイムズに日本と韓国が米軍の駐留経費を大きく増額しないならば、在日および在韓米軍の撤退を辞さないとの考えを示したほか、日韓の核兵器保有の可能性を排除しないと発言。民主党のヒラリー・クリントン氏は19日、ニューヨークに滞在していた安倍晋三首相と会談し、日米同盟の強化などについて意見交換、北朝鮮や中国を含む地域情勢も話し合った。

  安倍首相に近い自民党の西村康稔総裁特別補佐は、日本は「相応の負担」をしながら日米同盟を維持していると述べ、トランプ氏には「基本的な事実も含めてしっかりと説明し、理解を求めていきたい」と語った。

  民進党の長島昭久元防衛副大臣は「トランプ大統領」が誕生した場合の日米関係について「全く予測可能性がない」と語る。核武装論や基地撤退発言を踏まえると継続性が期待できず、日本が「難しい舵(かじ)取りが迫られる」との見方も示した。西村氏は15日、長島氏は16日に行ったブルームバーグのインタビューで語った。

  選挙戦ではクリントン氏の優勢が伝えられてきたが、9月に入ってクリントン氏の健康問題が浮上するなど、先行きが不透明な状況もある。ブルームバーグ・ポリティックスが9-12日に実施した世論調査によると、激戦区のオハイオ州で、トランプ氏に投票すると回答した人が48%と、クリントン氏の43%を5ポイント上回った。

日米同盟

  自民党の林芳正元防衛相は「日米同盟は強化されるべきだ」との立場から、国務長官を経験したクリントン氏の下で「さらに日米でどんどん深化させるという方向になることを期待している」と同氏を支持する姿勢を示す。

  トランプ氏のこれまでの発言については「選挙中なので、過剰に反応しないということに尽きる」としながらも「安全保障の話をされたのはあまり過去に例がなかった」と警戒。今の段階で日本に必要なこととしては「情報を収集するということ」と述べた。トランプ氏の下で「どういう人がスタッフになっているか」などを把握し、正確な情報を得ることが重要とした。

  民進党の長島氏はクリントン氏は、外交やアジア政策、対日政策を考えれば「極めて予測可能性が高い。継続だろう」とみる。トランプ氏については過激な言動が目立つフィリピンのドゥテルテ大統領と「言動が重なる」とも指摘。暴言や失言で会談が決裂するような心配もないわけではないとみている。

「内向き」な大統領選

  「戦後の秩序を作ってきた米国の影響力について、今、トランプ氏もクリントン氏もむしろ否定するような発言が続いている」と指摘するのが、自民党の山口壮衆院安全保障委員長(元外務副大臣)。大統領選で争点となっている米社会の所得格差や移民の問題に触れ、両候補とも「結局内向きになっている」との懸念を示した。

  山口氏は経済、安全保障それぞれの分野で、米国が「コミットメントを減らそうとしている」ことに対し、日本は従来の日米の枠組みだけではなく「大きな図柄を描くことが必要になっている」と語る。「今までは米国の言う通りに皆やってきた」とするが、「アジア太平洋の平和と繁栄の新しい仕組みを日本といくつかの国で考え、作らなければならない」と述べた。

  米国政治外交の専門家、慶応義塾大学の中山俊宏教授は5日、フォーリン・プレスセンターでの記者説明で、オバマ政権のアジア重視の政策について、米国内に向けて「重要性をはっきり説いたという印象がない」として、米国民が「アジア太平洋が本当に重要な地域なんだという政権のメッセージに対して、どれだけついて来られているのか」と疑問を呈した。その上で、トランプ政権誕生の場合には、これまでのアジア重視路線が「霧のように消えてなくなってしまうのではないか」と語った。

  クリントン氏が当選なら環太平洋連携協定(TPP)への対応など懸念はあるものの、「おおむねオバマ政権の継承」であり、日本として「歓迎すべき方向」であると指摘する。
  

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