安倍政権:TPP早期承認が最重要課題、米大統領選も影-臨時国会

  • 与党は11月8日前の衆院通過目指す、日本だけで進められないと野党
  • 大統領選有力2候補はTPP反対、オバマ政権下での承認目指す

安倍晋三政権は26日召集の臨時国会で環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案の成立を最重要課題と位置付けている。米大統領選では有力2候補がTPP反対の論陣を張っており、与党側は11月8日の投開票日前の衆院通過を目指す構えだが、野党は対決姿勢を示している。

  安倍首相は19日、ニューヨークで講演し、「臨時国会でTPP承認案と関連法案の成立を図る」と言明。TPPを通じて、米国は成長するアジア太平洋地域でのリーダーシップを示すことができると説き、「日本は努力を惜しまない。米国もそうであると期待している」と米側に促した。米大統領選に立候補している民主党のクリントン、共和党のトランプ両氏はTPPに反対する姿勢を明確にしている。

安倍首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg *** Local Caption *** Shinzo Abe

  民進党代表に就任した蓮舫氏は、2日に行われた代表選候補者としての会見で、米大統領選の有力2候補がTPPを「明確に否定している」ことから、「その段階で、今まで私たちが積み上げてきたものを、日本だけが進める環境にはない」と発言。情報公開も不十分として、TPP承認案とその関連法案の審議で「同じ土俵にまず立てない」と反対する意向を示している。

  TPP交渉は2015年10月に米アトランタで開催された閣僚会合で大筋合意。日本政府は通常国会での成立を目指したが、甘利明前TPP担当相の辞任などの影響で見送られた。TPPの発効には、域内の合計国内総生産(GDP)の85%以上を占める6カ国以上が手続きを終える必要があると定められており、域内GDPの8割以上を占める日米2カ国の国内承認は不可欠だ。

11月8日

  自民党の林芳正元農相は9月、ブルームバーグのインタビューで、仮に米側が協定内容の見直しを求めても「国会が承認しているから再交渉はできない」と言える材料を補強するため、「早く国会で承認するのが大事だ」と指摘。米大統領選との関係について「衆参両方で11月8日までに上げるというのは難しいのではと思うので、そういう意味では衆議院の通過を8日までに目指すということが目標になってくる」と語った。

  みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は、安倍政権はTPPを「成長戦略の切り札」とみていると同時に、不安定化するアジア太平洋地域に米国の関与を維持できる枠組みとして、「日米同盟の一環」であるとも位置付けていると分析。次期米政権の見通しがつかない中、米大統領選は安倍政権が早期承認に向けて動く「後押し」になっているとも話した。

  臨時国会ではTPPのほか、16年度第2次補正予算案や消費増税再延期関連法案などが審議される。会期は11月30日までの66日間。

オバマ政権での承認

  オバマ政権は11月の大統領選後から1月の退任までの間の議会承認を目指しているが、見通しは不透明だ。

  オバマ大統領は16日、超党派の議員と経済界のリーダーをホワイトハウスに招待。「TPPは経済面でも安全保障面でも重要だ」と話し、アジアの市場で公平な貿易が確立されなければ米国は切り離されるとして、TPP承認への協力を求めた。

  ペニー・プリツカー米商務長官は21日、ブルームバーグのインタビューで、大統領選から来年1月のオバマ大統領の残り任期までの「レームダック・セッション」はTPP承認の「最大のチャンスだ」と話した。

  オバマ政権のアジア経済アドバイザーを務めた戦略国際問題研究所(CSIS)のマシュー・グッドマン氏は、オバマ政権はTPP承認に大きな努力を払っており、現政権下での承認までこぎ着ける希望はあると話す。日本が臨時国会で承認を得ることは、オバマ政権の米議会への説得を後押しすることになるとも話したが、最終的には米国内の政治的な駆け引きによって決まると話した。

  安倍首相は15日、日本商工会議所通常会員総会で、TPPを臨時国会で承認することにより、「わが国が率先して動き、早期発効の機運を高めたい」と発言。公明党の山口那津男代表も17日の党大会で、「米国をはじめ他の署名国の批准に弾みをつけるためにも、日本の早期批准を成し遂げるべきだ」との決意を表明している。

向かい風

  夏の参院選では、農業が盛んな東北で自民党は大敗を喫しており、臨時国会でのTPPの取り扱いは、高い支持率を維持してきた安倍政権のアキレス腱(けん)となる可能性もある。

  共同通信が17、18両日に実施した世論調査では、TPP承認案件と関連法案について、「臨時国会にこだわらず慎重に審議するべきだ」は73.2%で、臨時国会で成立させるべきだと答えた11.9%を大幅に上回った。

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