9月4週(26ー30日)の日本株は堅調に推移する見通し。日米の金融政策に対する目先の不透明感が消え、投資家のリスク回避姿勢が和らぎそうだ。一方、ドル安・円高進行リスクを抱える為替動向は引き続き重しとなり、米国の経済統計を注視するムードが高まる。

  日本銀行は21日、金融政策の新しい枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決めた。銀行の収益に悪影響が及ぶと警戒されていたマイナス金利の幅は現状維持とした半面、長短金利の操作を行うイールド・カーブ・コントロールを行い、過度な長期金利の低下を防ぐ意向を示唆。銀行株中心に上げた第3週の日経平均株価は、週間で1.4%高の1万6754円2銭と反発した。SMBC日興証券の圷正嗣株式ストラテジストは、マイナス金利の深掘り回避は日本株にポジティブで、世界的な金利上昇の確度が高まり、高ベータ・低バリュー、シクリカル銘柄のディスカウント解消につながりやすいとみている。

株価ボードと歩行者
株価ボードと歩行者
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は21日の会合で追加利上げを見送ると同時に、声明では年内利上げの可能性がなお高いとの認識を示した。金利先物市場が織り込む12月利上げの確率は58.6%。ドル・円相場は22日の取引で一時1ドル=100円10銭と約1カ月ぶりのドル安・円高水準を付けた。今後発表される米経済統計の内容が弱ければ、さらに円高が進むリスクがあり、日本株投資家も為替の方向性を注視している。

  第4週の米市場では、27日に9月の消費者信頼感指数、28日に8月の耐久財受注が公表予定。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想では、消費者信頼感指数は98.5と前月の101.1からの悪化が見込まれている。このほか、26日は米大統領選の民主・共和党候補の第1回討論会、29日にはイエレンFRB議長の講演がある。国内で予定される主な経済統計は、30日に8月の鉱工業生産、全国消費者物価指数(CPI)。

  • ≪市場関係者の見方≫

三井住友トラスト・アセットマネジメントの三沢淳一チーフ・ファンドマネジャー
  「日銀の政策は量的緩和から脱却した賢明な判断で、国内金融政策に対する思惑が剥落したことも日本株にポジティブ。また、米利上げ見送りで世界的なリスクオン方向にあることはプラス材料だ。為替は、米利上げ見送りでも1ドル=100円台にとどまり、日本株の大きなかく乱要因になりにくい。期末の季節性も含め底堅く推移しそうで、日経平均は1万7000円をトライしてもおかしくない。下値で日銀のETF買いが入ることは、良くも悪くもボラティリティを失わせる」

しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジスト
  「日米の金融政策通過後の市場マインドは悪くなく、様子見していた向きが買いで動きやすい。日銀は利回り曲線フラット化の是正に動き、マイナス金利の深掘りを見送り、株式市場に一定の配慮を示したことは素直に評価して良い。米国では住宅関連などで弱めの指標が続く見込み。年末まで利上げなしとの見方が広がり、国内外市場でリスク資産には追い風だ。一方、米利上げ期待の後退に伴う円高圧力は日本独自の上値圧迫要因になる。持ち高修復の買いが膨らめば、日経平均は月初高値を上回る1万7200円程度まで上昇、下値は日銀のETF買いがサポートする」

大和証券の三宅一弘チーフストラテジスト
  「為替が再び日本株の焦点になる。日銀の政策は株式市場にかなり重点を置いた政策で、これにより下がることはない。来月にかけ、米国では重要経済指標が集中する。年内の米利上げ観測は6割ほどで、急速に円高が進む環境でもない。ただし、米国では8月の雇用統計以降、経済の下振れ懸念がある。今後の指標で利上げができないという観測が広がれば、ドル安基調となることもあり得る。7-9月は日銀会合への思惑で金融株と国内長期金利の上昇が主役だった。会合を通過しリバーサル相場に一巡感が出て、内需やディフェンシブ株が買われる展開へ移っていく」

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE