ドルは100円後半、米利上げ鈍化や日銀緩和後退観測で上値重い

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  • 米株高が続いている割に「円売り感応度」が鈍い-IG証
  • 「少しレンジを切り下げるイメージ」-大和証

23日の東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=100円台後半を中心に推移。米利上げペースの減速見通しや日本銀行の緩和姿勢の後退観測が重しとなった。

  午後4時9分現在のドル・円は100円88銭。朝方は一時101円24銭までドル買い・円売りが進んだが、その後は伸び悩み。午後には前日終値(100円76銭)付近まで値を戻した。日本が祝日だった22日には米国の利上げ見送りを受けたドル売りが先行し、8月26日以来の水準となる100円10銭までドル安・円高が進む場面があった。

  大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、「日銀については量的緩和ペースが減速する可能性がより高まったということが円高に作用しつつある。さらにFOMC(米連邦公開市場委員会)は、利上げ期待そのものはそう大きく後退したわけではないが、若干ドル安に効いた」と説明。半面、欧米株が上昇するなど米利上げ送りがリスクオンに働いていることが「少し円高進行を抑えているところはある」と話した。

  FOMCは21日に利上げの見送りを決めた。メンバーの金利予測を示す「ドット・プロット」では、年内に0.25ポイントの利上げが1回、来年の利上げは2回にとどまる見通しが示された。

  22日の欧米株は上昇し、米S&P500種株価指数は月初来の下げを埋めた。一方、23日の日本株は反落。日経平均株価は午前の取引終盤にプラス圏に浮上する場面もあったが、買いは続かなかった。

  IG証券の石川順一マーケットアナリストは、米国の利上げ見送りで米株高が続いている割に「円売り感応度」が鈍く、「黒田日銀緩和に対する不透明感が意識されている可能性が非常に高い」と指摘。「ドル・円はドル売り圧力が上値を抑えているので、株高への円売り感応度が高まらない、具体的にはクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)が上昇しない限り、上値も限定的になってくるだろう」と話した。

  菅官房長官は23日の記者会見で、足元の為替市場について、極めて神経質な動きを憂慮しており、このような状況が続くなら必要な対応を取ると述べた。約1カ月ぶりとなる100円台前半まで円高が進んだ22日には財務省、金融庁、日銀が国際金融資本市場に関する情報交換会を開催。浅川財務官は会合後、記者団に対し、過度な変動や投機的な動きは望ましくないとし、投機的な動きが継続するなら必要な対応を取ると述べた。

  バークレイズ証券の門田真一郎シニア為替・債券ストラジストは、ドル・円が100円に近づく局面では口先介入も見込まれ、「ある程度のサポートになっている」と説明。その上で、市場はまだ日銀の金融政策の影響や米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に本当に利上げをするのかを見極めようとしていると英語での取材で話した。

  麻生太郎財務相は閣議後会見で、デフレ不況脱却と持続的経済成長の実現は政府・日銀の共通政策課題であると述べた。日銀の新枠組みで国際業務について、直ちに大きな影響はあると思っていないと話した。
 
  米国ではこの日、フィラデルフィア、クリーブランド、アトランタの各地区連銀総裁のパネル討論会が予定されている。一方、来週は26日に黒田東彦日銀総裁、29日にイエレンFRB議長の講演が予定されている。その他、26日には米大統領選で民主・共和党候補の討論会が行われ、28日には石油輸出国機構(OPEC)の非公式会合が開かれる。

  大和証の亀岡氏は、OPEC非公式会合では増産凍結での合意は難しく、結論先送りとなり、原油安が進めば「ドル高効果はあるが、一方でリスクオフ効果、円高効果があり、少なくともクロス円は下がりやすい」と予想。ドル・円も若干円高効果の方が大きくなりそうで、99-102円程度に「少しレンジを切り下げるイメージ」と語った。

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