長期金利が一時プラス圏に上昇、日銀の新枠組み決定で売り優勢

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  • 先物は44銭安の151円49銭で終了、長期金利0.005%まで上昇
  • 長期金利ゼロ%にコミットしている以上、大きく動かない-農中総研

債券相場は下落。長期金利は一時、半年ぶりにプラス圏に上昇した。日本銀行がこの日の金融政策決定会合で、長期金利がゼロ%程度で推移するように国債買い入れを実施する新たな金融政策の枠組みを決めたことで売りが優勢となった。

  21日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の344回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.065%で開始した。午後に入って日銀会合結果が発表されると一時プラス0.005%と3月11日以来の水準まで上昇した。その後マイナス0.05%まで戻す場面があった。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「マイナス金利の深掘りがなかった分だけ中短期債が若干甘いが、先物はそれにつられて下がった程度。7年は若干マイナス金利の程度マイナス金利の深掘りがありそうなら中短期金利は下がっていく」と語った。

  新発2年物368回債利回りは横ばいのマイナス0.27%で始まった後、マイナス0.225%まで上昇した。新発5年物129回債利回りは横ばいのマイナス0.21%で開始し、マイナス0.175%まで売られた。

  新発20年物158回債利回りは一時3bp低い0.375%と8日以来の低水準を付けたが、午後に一時0.455%まで上昇した。新発30年物52回債利回りは4bp低い0.465%と8日以来の水準まで低下した後、午後は0.545%まで上昇した。

  長期国債先物市場で中心限月12月物は、前日比10銭高の152円03銭で取引開始し、その後は伸び悩み。午後に入って日銀決定を受け、一時89銭安の151円04銭まで急落した。結局は44銭安の151円49銭で引けた。

  岡三証の鈴木氏は、「10年がゼロ%に固定されるなら確実に相場の下値は決まってくる。マイナス金利の深掘りがありそうなら中短期金利は下がっていく。10年のプラス金利ゾーンや先物の151円ちょうど辺りを下値として意識。問題はそこで信じて買えるかだ。指し値オペをいったん見てみないと分からない」と話した。

日銀決定会合

日銀本店

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  日銀は20、21日に開いた金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の導入を決めた。長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」と物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで資金供給拡大を継続する「オーバーシュート型コミットメント」が柱となる。国債の買い入れペースは現状を維持しつつ、長期金利がおおむねゼロ%程度で推移するようオペを行う。平均残存期間の定めは廃止する。マイナス金利のマイナス0.1%は維持する。

  長短金利操作のための新型オペも導入する。日銀が指定する利回りによる国債買い入れ(指し値オペ)で、金利が上昇した場合などには10年金利や20年金利を対象とした指し値オペを実施する用意があるとしている。さらに固定金利の資金供給オペを行うことができる期間を従来の1年から10年に延長する。

  今回の決定について、メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「基本的に中期債を多く買ってツイストスティープさせるのだろう。ただ、3-5年ゾーンは市場で売りモノがなくなってしまうリスクもある。80兆円を残したのは長短金利操作が中心というのとは矛盾だが、円高リスクを回避する上でも引っ込めるわけにはいかなかったのだろう。実態としては減らしていき、超長期債利回りの過度な上昇に対しては新型オペでにらみを効かせる」と解説した。

  農林中金総研の南武志主席研究員は、「10年債利回りはゼロ%にコミットしている以上、そこから大きくは動いて行かないと思う。問題は5年債の居所で、本来なら5年くらいまで立たせたいところではあるだろう。オペなどで5年債を買わないとか、そういったオペごとの動きが今後は重要になりそうだ」と分析した。

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