日本株首位の英ヘッジファンド、地銀株売り-マイナス金利継続予想

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日本の地方銀行に着目して、昨年12月の運用開始以来、地銀株を売り持ち(ショート)にしてきた英国のヘッジファンドがある。人口減少とマイナス金利政策で収益が一段と悪化していくとみているためだ。日本銀行は21日の金融政策決定会合で、長短金利の操作を行う「イールド・カーブ・コントロール」の導入を決め、必要に応じて引き下げる方針を示した。

  ロンドン拠点のホースマン・キャピタル・マネジメントのシャノン・マコナヒー氏(35)は、地銀株をショートにしている理由について「地方の人口減少を伴う構造的問題」を挙げ、マイナス金利政策の継続を見込み「次回の政策決定会合までというより、中期にわたるポジションを取っている」と話す。TOPIXが年初来8月末まで15%下落する中で、同氏のファンドは14%の収益を上げ、ユーリカヘッジによると日本に焦点を当てたヘッジファンド56本のうち首位となっている。

  金融庁が15日公表した金融レポートによると、人口予測に基づいて試算した結果、2025年3月期には6割を超える地銀の貸出・手数料サービス業務は赤字になる見通し。マコナヒー氏は、「日銀の政策は貸出業務の減収を際立たせており、今後数年間にいくつかの銀行が破たんする」との見方を示す。

ロンドンの金融街シティ

Photographer: Jason Alden/Bloomberg

  TOPIX銀行業指数は同じ時期に25%下落しており、パフォーマンスは33業種のうち下から2位。同氏はショートの機会がありそうな銘柄として、静岡銀行、山口フィナンシャルグループ、山陰合同銀行などを挙げた。

  静岡銀行の渥美晃広報室長は、「マイナス金利政策の影響等により、地銀の経営が厳しい状況にあるとは言え、当行では貸出金利息が増加に転じるなど、業績は堅調に推移しており、海外投資家からも一定の評価を得ている」と述べた。山口FGと山陰合銀はコメントを控えた。

  日銀がマイナス金利の深堀りを見送ったことで、銀行株は軒並み買われ、静岡銀株は前日比55円(6.7%)高の882円、山口FG株は同66円(6.2%)高の1134円、山陰合銀株は同57円(8.1%)高の757円で取引を終了した。

  日銀が21日決定した追加の金融緩和措置では、マイナス金利の深掘りを見送る一方、長期金利については10年物国債金利がおおむね0%程度で推移するよう長期国債の買い入れを行う。今後の追加緩和手段については短期政策金利の引き下げと長期金利操作目標の引き下げを行うほか、資産買い入れの拡大が考えられるという。

  マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは、今後、マイナス金利の深掘りで銀行が中小企業向けに貸し出す際の基準金利となる短期プライムレートを引き下げれば、地銀の経常利益は約2割減ると試算する。マイナスの影響はすぐに響いてくるが、日銀が国債の買い入れ年限を変更し長期金利の上昇を促すことで貸し出しや運用面でのプラスの影響は「じわじわ効いてくる」とし、決算に与える影響は軽微と分析する。

(第1、7段落に加筆、第6段落の株価を更新しました.)
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