米共和党トランプ氏の税制改革案、減税対象の範囲めぐり混乱招く

  • 10年間のコスト見積もりに1.5兆ドルの開き-シンクタンク
  • ヘッジファンドなど「パススルー事業体」が対象に含まれるか不明

米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏の陣営が先週発表した税制改革案は、同氏が掲げてきた主要な提案の一つに一切触れなかった。プライベートエクイティ(PE、未公開株)ファンドやヘッジファンドの優遇につながるパススルー事業体対象の減税案だ。

  その後、トランプ氏のアドバイザーらから矛盾する発言が相次いでいるが、税制改革の検証で同陣営と緊密に協力してきた独立系エコノミストの1人によると、この減税案が断念されたかどうか分からないという。

  ワシントンのシンクタンク、タックス・ファンデーションのエコノミスト、アラン・コール氏は「このあいまいさは小さいことではない」と語った。

  タックス・ファンデーションは19日、トランプ氏の税制改革案に伴うコストについて、幅を持たせた見積もりを公表する異例の措置を取った。それによると、家族経営の店からヘッジファンドまで幅広いビジネスに恩恵をもたらすパススルー事業体対象の減税案を盛り込まない場合の向こう10年間のコストは、経済成長を考慮する前の段階で4兆4000億ドル(450兆円)。同減税案を盛り込んだ場合は5兆9000億ドルで、トランプ氏が先週掲げた数字を1兆5000億ドル上回る。

  トランプ陣営の広報にコメントを求める電話を数回かけたが返答はない。同陣営が19日午前、事業税に関する短い声明を掲載し、すぐに削除したことで混乱はさらに増した。削除される前にスクリーンショットで撮影された声明には、どのような形の課税を望むか各事業体が選択できると書いてあった。

  問題はトランプ氏が提唱する15%税率の対象が、「Cコーポレーション」と呼ばれる大企業に限定されるのか、それともパートナーシップやLLC(有限責任会社)などいわゆるパススルー事業体も含まれるかだ。パススルー事業体とは、事業体そのものは納税せず、事業体の構成員が受け取った所得に対し個々に納税する事業体。現行の個人所得税の最高税率は39.6%であるため、トランプ氏の案はこうした事業体の多くにとって大幅減税となる。

  タックス・ファンデーションは19日、トランプ陣営の税制改革案に関する分析に伴う声明で、「今日現在、トランプ陣営は15%の法人税率の案が伝統的なCコーポレーションだけに適用されるのか、それともCコーポレーションとパススルー事業体の両方に適用されるのか明確にしていない」と指摘した。

  ブルームバーグ・ニュースなどは先週、トランプ陣営が最新の税制改革案から、先に提案していたパススルー事業体の減税案を除いたと報じていた。

原題:Trump Confusion on Tax Plan Leads to Wider Estimates of Cost (1)(抜粋)

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