スティグリッツ教授、トランプ氏に「落第点」-中国との貿易戦争招く

  • 米国の雇用は純減、生活水準は低下する-スティグリッツ教授
  • 経済学基礎コースの学生が「落第点」をもらうレベルの経済観

ドナルド・トランプ氏が米大統領選挙で勝利し中国に新たな貿易関税を課すことになれば、米経済は惨敗を喫すると、ノーベル賞経済学賞を受賞したジョゼフ・スティグリッツ氏(コロンビア大学教授)が述べた。

  スティグリッツ教授(73)は香港でブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、最終的には貿易戦争にエスカレートし、米国民の生活水準が低下、雇用は純減になると指摘した。

  スティグリッツ氏とのインタビュー抜粋は以下の通り。

――トランプ氏が大統領選を制し、中国に新たな貿易関税を課した場合、経済的にはどのような影響があるか。
  対中関税は直ちに2つの結果をもたらす。一つは、低コストの中国製品に依存する米国の労働者はすぐに生活水準が低下する。こうした産業が米国に戻る可能性は非常に低い。一方で、中国は報復に出るだろう。中国は世界貿易機関(WTO)加盟国として認められた権利として、米国製品の購入をやめるという報復に出る可能性がある。そうなれば貿易戦争だ。中国は分野を選んで報復すると予想され、米国では創出される雇用より多くの雇用が失われる。雇用への影響は差し引きマイナスだ。米国は惨敗を喫することになる。

――中国との貿易についてトランプ氏の指摘は正当な懸念なのか、あるいは誇張なのか。
  トランプ氏が指摘しているのは、よくある浅はかな懸念だ。ここで言う浅はかというのは、外国が安さを武器に米国に打ち勝つという間違った認識を意味する。為替レートが変わる、あるいは賃金が低くなれば同氏は満足するのだろうか。外国製品が米国で買われるのは、相対的な優位性に基づく。米国には製造業に関する優れたポリシーが欠けていることもあり、相対的な優位性は失われた。ハイテクに関してはまだ相対的な優位性を維持している。二国間の貿易に目を向けるべきだと提言するエコノミストはどこにもいない。貿易はグローバルなシステムだ。米国が製品を購入し、対中貿易赤字につながっても、製品を他の国に売るわけだ。二国間でとらえるのは不可能だ。トランプ氏の経済観を成している枠組みは、経済学基礎コースの学生が「落第点」を与えられるようなレベルだ。

――ということは、トランプ氏の成績は「落第点」か。
  「落第点」だ。経済学をあまり理解していない。

原題:Stiglitz Grades Trump F on Economics, Cites China Trade Risk (1)(抜粋)

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