【コラム】日銀会合、FOMCに夢中で忘れてはならない-エラリアン

今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目が集まるだろう。しかし多くの情報を与えてくれ最も興味深いのは東京で行われる決定だ。この決定は日本が直面する難題を浮き彫りにするばかりでなく、不均衡なマクロ経済政策の組み合わせの中で行動し続ける他の中央銀行を待ち受けているものをより明らかにするだろう。

  世界金融危機以降の大半において、それまでは比較的目立たないところで重要ながら補完的な役割を演じたいた中銀が、膨大かつ過剰な負担を背負ってきたことは今や、広く認識されている。この過程で中銀はマイナス金利から大規模資産購入まで実験的な措置を次々と投入することになった。

  中銀は今も行動の意志と能力があるものの、中銀が孤立無援である期間が長くなるほど、これらの政策の有効性への疑問は高まり続ける。この問題が最も差し迫っているのが日本だ。

  黒田東彦総裁の下で日本銀行は、数十年におよぶ低成長とデフレリスクに対処する熱意を示した。バランスシートを活用した積極的な量的緩和に加え意表を突くマイナス金利も採用した。にもかかわらず、成果は満足にはほど遠い。
  
  輸出などを後押しする円安にはつながらず、日銀が強い政策を打ち出すほど円は上昇した。さらに、国債利回りはここ数週間に上昇し、期待された成長への追い風ではなく逆風を生んだ。

  日銀政策について日本の当局者からも含め議論が生じているのは無理もない。政策の効果が弱まり、逆効果すら生みかねない兆候が積み上がりつつあるためだ。

  20、21日の日銀政策決定会合はこうした複雑な背景の上に開かれる。日銀はこれを総括的検証の場と位置付けている。当初のシグナルは期待外れなマクロ経済効果にもかかわらず、当局者らが一段の措置を取ろうとしているというものだ。金利のマイナス幅拡大や資産購入の拡大など政策措置の組み合わせについては意見が分かれているもようだ。ただ、中銀が非伝統的政策措置に深く踏み込むほどその影響と露出度は高まり、複雑で意図せざる経済・金融面の結果を引き起こしたり政治からの監視にさらされ独立性が阻害されるリスクも生じる。

  経済がさらに落ち込もうとしている時に中銀が座視することは難しいが、日銀にとっての解決策は政府の行動を一段の中銀措置の条件とすることだ。しかし安倍晋三首相も制約を抱えている。

  こうした八方ふさがりの状況は日銀だけではなく、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)にも共通している。政治家が経済政策における責任を果たさない中で中銀への過度の依存が長期化した。政策が効果を失うという点でまだ日銀ほどではないものの、ECBとイングランド銀もそこへ追い込まれ得る状況にある。

  そういうわけで、FOMCも重要だが日銀を注視するのを忘れてはならない。日銀の行動、あるいはその欠如は米当局の決定ほどには直ちに市場を動かさないだろう。しかし他の中銀、従って世界経済に対する中期的なリスクを判断する上で、日銀決定はより重要な情報を含んでいる。

原題:Fed Meeting Shouldn’t Obscure BOJ’s Moment: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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