米金融当局のジレンマ、不意突く危険と「市場の言いなり」の板挟みか

  • ノーザン・トラストは年内の利上げを見込まず
  • 米当局は市場参加者の見方に縛られているとノーザン・トラスト

中央銀行は金融市場をコントロールしているとよくいわれるが、米金融当局はこのところ債券トレーダーを動揺させる行動を起こせない状態が続いており、あたかも金融市場が中央銀行を逆に支配しているかのようだ。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長ら当局者はこれまで幾度となく、利上げの準備が整ったと投資家を信じ込ませようとしてきたが、そのたびに英国民投票での欧州連合(EU)離脱の選択や中国経済の減速、勢いを欠く米経済成長といった要因のため、利上げに踏み切れないできた。

  それが市場心理に重大な影響を与えた。トレーダーの間で当局の決意に対する疑念が生じ、年内利上げの確率は50%程度(政策担当者は年初の時点で4回の利上げを見込んでいた)との観測が高まった。さらに現状への市場の安心感を助長する結果となり、ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏からジャナス・キャピタル・グループのビル・グロース氏に至るまで、誰もが債券が過大評価されていると警告を発した。しかし、信頼の喪失が認識される中で、今利上げすれば投資家の不意を突く危険があり、利上げを先に延ばしても市場の言いなりとの見方を強めるジレンマに陥っており、そのことが恐らく最も重要だ。

  ノーザン・トラスト・アセット・マネジメントの債券責任者として3980億ドル(約40兆5000億円)相当の資産運用に携わるコリン・ロバートソン氏は「米金融当局の方が、市場参加者の金利見通しに実は縛られている。いつか当局が市場にショックを与え、巻き添え被害に対応しなければならない日が訪れる」と指摘した。
  
  20、21日の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25ポイント利上げについて、金利先物トレーダーが現時点で織り込む確率は20%にすぎない。8月終盤の時点では40%強だったが、ロバートソン氏はほぼゼロとみている。RBCキャピタル・マーケッツは14日のリポートで、今月利上げが決まれば「究極のサプライズ」との見解を示した。

原題:Bond Traders Trap Fed in No-Win Situation as Rate Decision Looms(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE