米金融当局、景気悪化時のフォワードガイダンス活用の余地限られる

  • 理論的主唱者コロンビア大のウッドフォード教授も今や確信持てず
  • 中長期金利は今年初めの市場の動揺と英EU離脱受け既に大幅低下

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長はかねて、将来リセッション(景気後退)に見舞われた場合に当局が講じられる対策の1つとして、長期にわたって金利を低水準に据え置くと約束することを挙げてきた。

  しかし今、こうしたフォワードガイダンス活用の理論的主唱者だった米コロンビア大学の経済学教授、マイケル・ウッドフォード氏はそれほど確信を持てずにいる。

  フォワードガイダンスをめぐるウッドフォード氏の研究の成果は、各国・地域の中央銀行に金融危機以降、大きな影響を及ぼしてきたが、同氏は「『ゼロ金利に戻してそこにとどめる』といった劇的な発表を行ったとしても、市場が現時点で予想しているよりも金利の道筋が大幅に低下することはないだろう」と語る。

  主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標をゼロ%近くに引き下げた後、米金融当局は同金利を長期間低水準に据え置くと約束することで、景気てこ入れ策を補強することができた。このようなシグナルの発信を通じ、住宅ローンや自動車ローンなどの金利に連動した長期金利を低めに誘導・維持することが可能だったためだ。

  今年の情勢を見ると、米金融当局がフォワードガイダンスの利用に訴える能力は大幅に低減しており、市場が新たな動揺に見舞われれば、こうした能力は完全に失われるかもしれない。

  米金融当局が昨年12月、約10年ぶりの利上げに踏み切った際、債券市場がその後5年間に織り込む利上げは0.25ポイントずつ計7回だったが、現在ではたった3回に減っている。

  今年初めの世界的な市場のボラティリティ(変動性)の高まりの中で投資家の間に不安が広がり、中・長期金利はいったん低下した後、6月の英国民投票で予想外の欧州連合(EU)離脱の判断が下されたことで一段と低下した。

  ウッドフォード氏は「市場では既に、ゼロ%近辺からの金利上昇は向こう数年間に非常にゆっくりとしたペースでしか進まないという道筋を見込んでおり、そうした確信を変える余地はあまり大きくない」と話した。
  
原題:Fed Running Out of Forward Guidance as Markets Exhaust Key Tool(抜粋)

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