金融機関リスク、規制強化後も依然残る-サマーズ氏が市場観点で論文

  • 「さらなる規制措置はシステミックリスクを増大させる可能性も」
  • ドッド・フランク法を攻撃するものではないと説明

サマーズ元米財務長官は、金融危機後の米国での規制強化にもかかわらず、投資家の観点からは金融機関の安全性が大幅に高まってはおらず、経営難に見舞われる脆弱(ぜいじゃく)性さえ増えた可能性があるとする内容の論文を共同でまとめた。

  米金融規制改革法(ドッド・フランク法)制定の過程でオバマ政権の国家経済会議(NEC)委員長を務めたサマーズ氏は論文で、金融機関の株価ボラティリティやクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)など安定性に関連した諸指標では、期待されたようなリスクの低減が見られないと指摘した。

  サマーズ氏は米ハーバード大学の同僚、ナターシャ・サリン氏と共同で執筆した論文を15日のブルッキングズ研究所主催の会議で紹介。「驚いたことに金融市場の情報に基づけば、大手金融機関が危機前よりもずっと安全になったという見方はほとんど支持されず、実際にはリスクが増大したとの見方を一部支持することになる」とし、「さらなる規制措置はシステミックリスクを増大させる可能性がある」と論じた。

  ただ論文では、「2008年の金融危機後、資本増強とリスクテークの抑制を図った規制当局の広範なアプローチが不適切だったことを示すものではない」と説明。「実際、ドッド・フランク法や規制面の対応がなければ、現在の金融システムはもっと脆弱となっていたことに疑いはない」と、規制撤廃を支持しているわけではないことを明らかにした。

  サマーズ、サリン両氏は「金融機関のリスクが高まり、実質的に一段とレバレッジが増した理由の大きな部分は、フランチャイズ価値の低下だ」と分析。その上で、「この問題を深く研究したわけではないが、フランチャイズ価値の低下の主因は規制面の措置と今後の規制強化の見通しである可能性が考えられる」としている。

原題:Summers Surprised That Markets See Just as Much Risk in Banks(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE