日銀はフォワードガイダンス強化も、総括検証で-エコノミストの見方

  • 「マイナス金利拡大と時間軸効果強化を組み合わせる必要」と白川氏
  • 物価目標達成後も一定期間は国債残高維持-みずほ総研が5つの提言

日本銀行が20、21日の金融政策決定会合で行う政策の「総括的な検証」では、より長い期間にわたり緩和を継続するフォワードガイダンス(時間軸)の強化が論理的な結論だ、という見方が一部のエコノミストから出ている。

  黒田東彦総裁は5日の講演で、日銀は量的・質的金融緩和で「フォワードルッキングな予想形成」を強化し、人々の予想物価上昇率を2%の物価目標に「アンカーさせる」ことを目指してきたが、その前に原油価格の大幅下落などで物価上昇率が低下したと指摘。このため実際に経験している物価上昇率と同程度の上昇が先行きも続くという「適合的な予想形成」で予想物価上昇率が再び低下した、と述べた。

  日銀はマイナス金利政策を含めこれまでの緩和政策の総括的な検証を行う。検証を受けた1つの選択肢となり得るのが、「2%の物価目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」という現在のフォワードガイダンスの強化だ。異次元緩和で拡大した日銀のバランスシートを2%の安定的な持続が実現した後も継続することなどが考えられる。

日銀本店

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは15日付のリポートで、年間80兆円ペースで長期国債保有残高を増加させる現在の政策には「やがて物理的な限界が訪れる」と指摘。量的緩和の方向性は基本的にはテーパリング(買い入れの縮小)だとした上で、それが長期金利の過度な上昇を招かないよう、「マイナス金利拡大と時間軸効果の強化を組み合わせていく必要がある」という。

  時間軸の強化は具体的には、「一定規模の長期国債残高の長期維持をコミット(約束)すること」で、例えば、長期国債保有残高の市場シェアを3つのレイヤー(階層)に分割し、その第1レイヤー部分、例えば、市場残高比10%程度に相当する長期国債保有について、消費者物価指数(CPI)上昇率が2%を大幅に上回っても保有することを約束する、といった制度設計だという。

2020年まで緩和持久戦に耐えうる対応策

  黒田総裁は量的・質的緩和を導入した2013年4月、「実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を15年近く続いたデフレからの脱却に導く」と宣言した。しかし、5日の講演では、1月のマイナス金利政策導入後も、不安定な国際金融市場による悪影響をはね返すには至らず、「予想物価上昇率は弱含んだ」としている。

  みずほ総合研究所は8日、2020年を視野に緩和長期戦に向けた「5つの提言」を発表した。それによると、金融機関の担保需要などを踏まえると、2018年以降、長期国債の買い入れが困難になる可能性があると指摘。金融緩和の長期化が予想される中で、「国債買い入れの減額などにより、金融緩和の持続性を高める必要がある」と主張している。

  その上で、2020年まで金融緩和持久戦に耐え得る対応策の1つとして、物価目標達成後も一定期間は国債残高を維持するなど、フォワードガイダンスの強化により、市場変動リスクに対応することを提言している。

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