カルティエの6000万円超の腕時計、高級ブランドが背負うリスク示す

  • 精密腕時計の製造推進の後、中国人の需要減で反動に見舞われる
  • 4-9月の親会社営業利益は前年同期比で約45%減少する見通し

カルティエは100年余りにわたり、「タンク」などシンプルだがエレガントな腕時計を販売してきた。価格帯は約2500ドル(約25万6000円)からと、スイス製高級腕時計の基準からすると手頃で、パテックフィリップなど技巧を尽くすブランドとは一線を画していた。

  そして10年ほど前、カルティエは優れた技術を証明するためスイス最大級の腕時計工場建設に多額の資金を投じ、高級腕時計製造部門の責任者として業界のベテランを採用。同部門で技術面の探究を進め、うるう年を調整するカレンダーなどのアナログ機能を備え、綿密で熟練した技術を必要とする「精密腕時計」を製造できるようにした。この取り組みは昨年、「ロトンド・ドゥ・カルティエ・グランド・コンプリケーション・スケルトン」に結実。裏ぶたに透明な素材が使用されたこの腕時計の価格は60万ドル(約6100万円)を上回る。

  ただ、当時市場を下支えしていた中国人による需要は大きく後退していた。カルティエの親会社、スイスのフィナンシエール・リシュモンは14日、4-9月(上期)の営業利益が前年同期比で約45%減少するとの見通しを示し、ヨハン・ルパート会長はこれを「容認できない」水準と語った。このため、カルティエは人員を削減するとともに売れ残り在庫を小売業者から買い戻し、より手頃な価格の腕時計に再び重点を置く方針だ。こうした動きは腕時計業界とビジネス全般にとって警鐘となる。高級品需要は必ずしも長続きせず、安全地帯を越えてブランド展開を図ろうとすれば大きなリスクを負うということを覚えておく必要がある。

  コンサルタント会社ブランドキャップ(ロンドン)のパートナー、マンフレッド・アブラハム氏は「カルティエは非常に古典的なスタイルを持っており、それだけでも既にステータスシンボルと認識されている」と指摘。「消費者にとっては2000ポンド(約27万円)の腕時計でも8000ポンドの腕時計と同じインパクトがある。『すごい。カルティエだ』と言われるからだ」と指摘した。

原題:Cartier’s $600,000 Watch Shows Risks of Extending Luxury Brands(抜粋)

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