長期化するドコモとタタの対立-対インド投資の法的リスク浮き彫り

  • ドコモは合弁解消で2014年に持ち分売却の権利を行使
  • インド中銀が当初合意が国内法に反すると主張

いつでも半値で売り戻すこともできるとの条件が付帯した契約で住宅を買うことを考えてみてほしい。そして購入してから数年後に売却しようとしたら、その契約は無効だと告げられる状況も想像してほしい。

  まさにこれがNTTドコモに起きたことだ。ドコモが買ったのは住宅ではなく、インド最大のコングロマリット、タタ・グループが傘下に置く携帯通信会社の株式で、その価値は20億ドル(約2000億円)を超える。インドの法律は海外投資家が「適正価格」を上回る水準で出資分を売却することを禁止しているとタタは主張している。

インドの携帯電話ショップで充電を待つユーザー

Photographer: Dhiraj Singh/Bloomberg

  国際仲裁裁判所はドコモを支持する判断を6月に示したが、両社間の係争はその後、ロンドンとニューデリーの法廷に場所を移して続いている。インドのモディ首相が海外投資の呼び込みを図る中で、数年に及ぶ両社の対立はアジア3位の経済大国における法的リスクを浮き彫りにした格好だ。

  国際協力機構(JICA)の南アジア部でインドを担当する田中耕太郎氏は電話インタビューで、発展途上のインドでは「裁判も多く、行政・法律の環境」に誰もが不安を持っていると指摘。ドコモの主張が通らなかった場合「リスクがあって行かないか、あるいは行かない方がリスクかという2つの考えがあるが、日本では前者の考えが多い」と述べた。

  ドコモ広報担当の大和田洋介氏はコメントを控えた。タタもコメントしていない。

半分以下

  インドでは通信業界の競争激化で中小事業者の利益が圧迫されている。企業省のデータによれば、国内7位のタタ・テレサ-ビシズの損失は3000億ルピー(約4600億円)余りに積み上がっている。

  ドコモは合弁事業を解消するため、持ち分売却の権利を2014年に行使した。だがインド準備銀行(中央銀行)はこの取引が外国為替管理法に反しているとして当初の契約を差し止めている。同中銀は14年に配布した文書で、非居住者は合弁解消のための価格について保証されないなどと説明した。

  両社共に適正価格の水準には言及することはないが、ビジネス・スタンダード紙は15年7月、タタが1株当たり23.34ルピーでの買い取りを提案したと報道。ドコモが売却を求めている1株当たり58ルピーの半分以下だ。

  ロンドン国際仲裁裁判所はタタがドコモに11億7000万ドルを支払う必要があるとの判断を今年6月に下し、ドコモはこの判断を執行させるためニューデリーと英国の裁判所で争っている。

原題:Caveat Emptor: Soured Docomo Deal Tests India Investment Appeal(抜粋)

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