「総括検証」で社債駆け込み発行、過去最大-緩和観測も金利上昇

更新日時
  • 7月からの起債額は4.5兆円、第2四半期としては99年以降最大
  • 決定会合後は「結果次第で起債の後ろ倒しも」と大和証の成毛氏

国内の社債発行額が急増し、今年度第2四半期(7-9月)は過去最大となる見通しだ。日本銀行による金融緩和の「総括的検証」をめぐる市場の思惑から、7月末以降、超長期国債利回りが上昇。一部企業が資金調達の前倒しに動いているからだ。

  ブルームバーグのデータによると、7月1日から今月15日までの社債発行額は前年同期の2.8倍の4兆5415億円。7-9月期としては、ブルームバーグのデータがさかのぼれる1999年以降で既に最大となっている。9月はパナソニックやソニー、三菱商事、ソフトバンクグループなどの大型起債が目立つ。

  マイナス金利政策で一段と低下していた国債利回りは、7月末の日銀の政策決定会合を契機に上昇傾向に転じた。この会合では9月20、21日の次回会合で総括的検証の実施が決まった。黒田東彦総裁が最近の講演で、金融機関の収益減や保険・年金の運用難などマイナス金利の弊害に触れたこともあり、日銀は年限の長い国債利回り低下を是正するとの見方も出ている。半面、マイナス金利幅の拡大など追加緩和観測も浮上。年限の短い国債利回りは低下し、長短金利差は拡大している。

日銀の黒田総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  大和証券デット・キャピタルマーケット部シンジケート課長の黒川栄光氏は、総括的検証に対する不透明感から「9月21日よりも前倒しで調達しておこうという考えも一部の発行体にあり、例年以上に起債が重なった」と話す。同部部長の成毛豊文氏は、10月はある程度発行体は起債したいのではと想定しているものの、「日銀の決定会合の結果次第では一部の起債が後ろ倒しになることもありえる」と言う。

決定会合後

  一方で、超長期金利の上昇に伴い起債を見送った企業もある。東邦ガスの広報担当者は、30年債の発行を検討しているが、「足元の金利状況を勘案して現時点では発行に至っていない」と語った。15日付の日本経済新聞によると、Jパワーも30年物社債の発行を見送ったという。

  SMBC日興証券の伴豊チーフクレジットアナリストは、事前報道のように日銀が決定会合で利回り曲線の傾斜化を促すような決定をすれば「超長期金利は高い水準になっていき、低下はしないという見通しがマーケットに広まってくる」とし、「超長期社債の発行は減っていき、年限も短期化する可能性が高い」との見方を示した。投資家サイドから見ても「超長期金利は下がらないという見通しが強まると、投資対象として慎重になる」と話した。

  「総括的検証」の実施を決めた7月の政策決定会合直前と比べると、20年、30年、40年の超長期国債の利回りが今月15日までに30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上上昇したのが目立つ。2年債と30年債の利回り格差(終値ベース)は7月会合前の58bpから15日には81bpに拡大し、利回り曲線が傾斜化している。

直前予想  

  ブルームバーグが実施した調査(エコノミスト43人対象、7-12日実施)によると、21日の政策決定会合で、追加緩和を予想する人が54%を占めている。緩和手段としてはマイナス金利の深掘りが引き続き有力となっており、長期国債買い入れについては、持続可能性への懸念などから7人がレンジ化の可能性を指摘している。

  ソシエテ・ジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは、国債買い入れ額を現行の年80兆円程度から「70兆-90兆円程度といった幅を持たせる形に変更し、買い入れオペをより柔軟にし、持続性を高めようとする可能性はある」とみる。

  三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取は15日、訪問先のシンガポールで、日銀が来週の政策決定会合で、マイナス金利の副作用について考慮してほしいと述べ、同政策が融資の利ざやを圧迫し続けると訴えた。また日本損害保険協会の北沢利文会長も同日の記者会見で、「超長期金利が下がりすぎている副作用に十分配慮してほしい」と述べた。 

(最終段落を追加し、更新しました。.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE