日銀の次の一手、「3つのバズーカ」か「隠れ緩和縮小」か-臆測交錯

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  • 一部は緩和縮小を予想、一方で資産購入拡大・マイナス金利深堀りも
  • インフレ目標達成の時間枠も論点

20、21日の政策決定会合後に日本銀行が金融緩和の新たな巨砲を撃つとの見方の一方で、もうほとんど弾薬が残っていない、あるいは追加緩和策を打ち出すことに慎重になっているとの観測も浮上している。

  一部のエコノミストは、日銀が検証実施を決めたのは、2%のインフレ目標達成の困難を示すもので政策が限界に達したとの議論を裏付けるものだと判断している。検証の結果、日銀がインフレと成長押し上げの取り組みを今までと同じか、あるいは新たな手段によって強化すると予想する向きもある。政策措置の継続を容易にするために国債買い入れを柔軟化するとの見方も出ている。

  黒田東彦総裁は金融緩和の全体的レベルを下げることは考えず、新たなアイデアも議論対象から除外しないと述べている。ただ、いわゆるヘリコプターマネーは日本では違法となるため例外だ。

日本銀行

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  エコノミストの多くは来週の会合での現状維持を予想している。行動する場合については以下のような選択肢が想定されている。

資産購入

  日銀の緩和策の中心である膨大な国債購入には持続可能性についての疑問が浮上している。日銀は今では発行残高の3分の1余りを保有しており、大手銀行の在庫枯渇が懸念されるほどだ。

  それでも、一部アナリストは日銀が国債や上場投資信託(ETF)の購入を拡大すると予想する。

国債と不動産投資信託(J―REIT)

  JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは日銀がマネタリーベース増加の年間目標を90兆円と現行の80兆円から増やすとともに、J-REITの購入目標を2000億円と現在の900億円の2倍強にすると予想。国債の買い入れ目標は変更せず、銀行の準備預金の一部に対する金利をマイナス0.3%と現在のマイナス0.1%からさらに引き下げることも見込んでいる。

購入目標額の柔軟化

  バークレイズやBNPパリバのエコノミストらは最近のリポートで、日銀が購入目標額を現行の80兆円から、70兆-90兆円のレンジに変更するだろうとの見方を示した。これによって、購入対象が不足した場合により柔軟に対応でき、また購入が持続不可能になりつつあるという説の否定に説得力が増すとみる。

購入目標の減額

  クレディ・アグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは購入目標の減額を予想。「黒田総裁は保有残高が増えている限り、緩和縮小ではないと言える」と説明した。遅かれ早かれ国債買い入れの目標は下げなければいけないとも述べた。

社債購入の拡大

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券とBNPパリバは日銀が企業の借り入れコストを押し下げるために社債購入を増やす可能性を指摘する。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の宮嵜浩シニアエコノミストは、日銀が社債の年間保有目標を3兆2000億円から2兆円引き上げる可能性があるとみている。

マイナス金利

  黒田総裁は5日の講演で、資産購入とマイナス金利の組み合わせは「極めて強力」だと発言。また、金利のマイナス幅を現在の0.1%から拡大する十分な余地があるとの認識を示した。同時に、国債利回りと融資金利の低下が銀行の収益や年金商品のリターンに悪影響を及ぼすことも認めた。

マイナス金利の一段の引き下げ

  スタンダードチャータード銀行(香港)の北東アジア担当エコノミスト、ベティ・ルイ・ワン氏や岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミストは日銀がマイナス0.2%まで金利を引き下げると予想する。

市中銀行へのマイナス金利での貸し付け

  早川英男・元日銀理事は、日銀の貸し出し支援基金にマイナスの金利を付けるべきだと説く。これによってマイナス金利からの銀行への打撃と消費者の懸念が和らぐと指摘した。

フォワードガイダンス

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、マイナス金利のみにカレンダーベースのフォワードガイダンスを付加して数年の時限性を持たせる選択肢が有力だとみている。その場合、イールドカーブはある程度スティープ化した状態を維持する可能性が高く、銀行収益などへの配慮もあると日銀は説明できると指摘した。

インフレ目標

  黒田総裁は2013年に就任した時、約2年以内にインフレ率2%の目標を達成する決意を示し、そのために何でもすると表明した。この目標達成の期限を繰り返し先送りしてきたことは日銀への信頼を損なった。

   バークレイズのエコノミストらは日銀が時期への言及をやめ「できるだけ早期に」目標を達成すると表明すると予想している。

原題: BOJ Watchers’ Calls Range From a Triple-Bazooka to Stealth Taper(抜粋)

(第7段落のJPモルガン証券の政策変更見通しの内容を追加し更新.)
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