円上昇、FRB理事講演控え米早期利上げを警戒-株安でリスク回避

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  • ドル・円は102円台後半から一時102円31銭まで円買いが進行
  • ドル・円、株と金利との綱引きが続きそうな感じ-三井住友信託

12日の東京外国為替市場では円が上昇。世界的な株安を背景にリスク回避に伴う円買いが優勢となった。海外時間に米連邦公開市場委員会(FOMC)前の最後となる米金融当局者の講演を控えて、米早期利上げの可能性が警戒された。

  ドル・円相場は1ドル=102円台後半から一時102円31銭まで円買いが進行。その後、やや値を戻したが、午後にかけては日本株が一段安となり、円も底堅く推移した。午後3時19分現在のドル・円は前週末比0.2%安の102円50銭となっている。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニットの細川陽介為替セールスチーム長は、「ドル・円は株安に連れやすい傾向もある一方で、米長期金利との相関だけをみていると、もう少し上がっても良い感じもする」と指摘。「最終的には金利を重視した動きになるとみられるが、今晩のブレイナード理事や米小売売上高などをこなす中で、株と金利との綱引きが続きそうな感じ」と話した。

  この日は米国でアトランタ連銀総裁、ミネアポリス連銀総裁、ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事の講演が予定されている。FRB当局者は13日から公の場での発言を自粛するブラックアウト期間に入るため、FOMC前最後の発言の機会となる。中でもブレイナード理事はFOMCで最もハト派の一人であり、利上げに対してどのような姿勢を示すかが注目されている。  

  先週末の海外市場ではボストン連銀総裁が利上げに前向きの姿勢を示したことを受け、米長期金利が上昇。為替市場ではドル買いが強まり、ドル・円は一時103円06銭と3日ぶりの高値を付けたが、その後は米国株の下落を受け伸び悩んだ。ボストン連銀のローゼングレン総裁は9日の講演で、利上げを長く待ち過ぎれば米経済が過熱する恐れがあり、金融安定をリスクにさらしかねないと警鐘を鳴らした。

  上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、ブレイナード理事が低金利の長期化に対するリスクに言及すれば、9月利上げの確率がかなり高くなると指摘。その場合、ドルは上がるだろうが、同時に株安を通じてリスクオフとなるため、「ドル・円の上げ幅は小さく、逆にこれまで消極的に買われていたオセアニア通貨に調整が入る」とし、クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)での円買いや新興国通貨安がドル・円の圧迫材料になると予想した。

  米金利先物市場動向に基づくブルームバーグの算出によると、9月の米利上げの予想確率は9日時点で30%、年内利上げの確率は60%となっている。8時点の確率はそれぞれ28%、59%だった。

  9日の米国株は大幅続落。ダウ工業株30種平均は400ドル近く下落し、S&P500種株価指数は2カ月ぶり安値となった。週明けのアジア株も軒並み下落し、日経平均株価は300円超下げる場面が見られた。

  三井住友信託の細川氏は、ドル・円は102円台半ばを割れたことで、「若干ロング(ドル買い持ち)になっていた短期勢の売りが出たのではないか」と説明。その上で、来週にFOMCや日本銀行の金融政策決定会合を控える中、「100-105円レンジの中でボラタイルな動きが続く可能性がありそうだ」と語った。

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