世界一の債券取引エリートクラブ、かつての名声に陰り

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  • クレディ・アグリコルはプライマリーディーラー目指さず-関係者
  • 規制や技術の進歩でプライマリーディーラーの収益性低下

米国債市場でプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)の名声がどれだけ低下したかを知るために、クレディ・アグリコルの事例を検証しよう。

  フランスの銀行3位のクレディ・アグリコルは同行がプライマリーディーラーに値する金融機関だと訴えるため、長年にわたってニューヨーク連銀に取引などのデータを提供していた。トレーダーやセールススタッフを増員するなど、米国債ビジネスの拡大も図ったほか、10月にはイランとスーダンを対象とする米国の制裁に違反した疑いをめぐる問題の決着で7億8700万ドル(約807億円)の支払いに同意。これら一連の取り組みにより、昨年末までにはプライマリーディーラー入りが射程に入った。

プライマリーディーラー認定目指さない仏クレディ・アグリコル

Photographer: Balint Porneczi/Bloomberg

  だが、これら全てのハードルをクリアした同行は結局、ニューヨーク連銀と直接取引して米国債入札で応札義務を負うという債券の世界で一番のエリートクラブに入っても、それだけの価値はないと結論付けた。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に語ったところによれば、経営陣は5月にスタッフに、プライマリーディーラーの認定を目指さない考えを伝えた。

  金融危機後の規制や技術の進歩を受け、米国債市場の構図は変化しつつある。銀行はかつてはプライマリーディーラーに認定されたくてうずうずしたものだったが、現在はその役割に伴うメリットが小さくなったと認識されている。現在は一握りの金融機関がトレーディングを支配し、国債入札でプライマリーディーラーを介さない割合が高まっている。ブルームバーグの集計データによると、昨年の新発米国債のうち、投資家が政府から直接落札した割合は10%と、2006年の約1%から上昇した。

  グリニッチ・アソシエイツの市場構造・テクノロジー調査責任者、ケビン・マクパートランド氏は「銀行が米国債のトレーディング事業を運営するのは一段と難しくなった」と指摘。「規制で収益性がかなり落ちている」ほか、「トレーディングの電子化が進む中で、新たな参加者にとってはそのビジネスに参入する方が容易だ」と語った。
 
  プライマリーディーラー数は現在23社と、1988年のピーク時の半分に減っている。米ウェルズ・ファーゴの証券仲介部門が4月に仲間入りしたが、他の金融機関にとってプライマリーディーラーの魅力は乏しくなったようだ。金融危機後に導入された米金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づくルールや国際銀行資本規制「バーゼル3」といった規制を受け、米国債の在庫を多数抱えるコストが上昇したため、プライマリーディーラー業務の収益性が低下したと一部の証券会社は指摘している。

  また、ディーラー間プラットフォーム上で高速取引会社からの攻勢が強まっていることも背景にある。グリニッチ・アソシエイツが昨年公表した調査結果によると、こうしたプラットフォームで活発なマーケットメークを行っていると回答したプライマリーディーラーは半数未満だった。プライマリーディーラーの間では、米国債取引は上位5社に集中するようになっている。

  米国債入札では各プライマリーディーラーは自社に一定の割合以上の応札が義務付けられる。以前はプライマリーディーラーの応札がこの割合を上回り、最大の落札者となった時期もあったが、もはやそうではない。ブルームバーグの集計データによると、今年これまでの米国債入札でプライマリーディーラーが落札した割合は約32%と、過去最低となるペースだ。

原題:World’s Most Elite Bond-Trading Club Isn’t What It Used to Be (抜粋)

(プライマリーディーラーの米国債落札割合などを追加して更新します.)
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