日銀検証への懸念「全て外れる」、ぶれない佐野氏が国債売りに警鐘

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  • 足元の金利上昇、単なる債券市場の勘違い-佐野氏
  • 黒田総裁の任期中は技術的問題で縮小することは考えにくい-佐野氏

国債売りは「勘違い」ー。日本銀行の「総括的な検証」をめぐって市場が疑心暗鬼に陥っても、東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストの強気姿勢は全く揺るがない。国内の債券利回りは再び過去最低水準に向けて低下していくと見込む。

  日銀は20、21日の金融政策決定会合で、黒田東彦総裁の下で進めてきた前例のない金融緩和政策について総括的検証を行う。過度な政策が金融機関の収益を圧迫する中で、債券市場では検証により緩和策の手綱を緩める方向に動くのではないかとの警戒感が浮上。長期金利は先週、マイナス0.01%と3月以来の水準まで上昇するなど、売り圧力が強まった。

上空から見た日銀本店

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、7-9月期の日本国債の収益率は過去13年で最悪となるペース。ブルームバーグの日本ソブリンボンドインデックスは、8月に2010年以降で最大の下げとなった。10年超の国債は5日まで7営業日続落し、過去3年間で最長を記録した。

  長期金利のマイナス圏突入を今年2月に予想して的中させた佐野氏は、日銀検証を警戒して売られた足元の相場について、「単なる債券市場の勘違い」だと一蹴。「黒田総裁の任期中に現行緩和策がいろんな形で壁にぶつかって技術的な問題で縮小するようなことは考えにくい」とし、「債券市場が検証について持っている懸念は全て外れる」とみる。

  黒田総裁は5日の講演で、総括的検証は「市場の一部で言われているような緩和の縮小という方向の議論ではない」と説明。これまでの政策効果に関しては、マイナス金利政策と国債買い入れの組み合わせにより「イールドカーブ全体にわたって国債金利の一段の低下に大きな効果をもたらした」との認識を示した。一方、「マイナス金利の深掘りも量の拡大もまだ十分可能であり、政策手段の面では幅広い選択肢がある」と述べ、限界説を否定した。

  佐野氏は、今回の検証について、同日の黒田総裁の講演内容が「骨組み」になるとし、「量的・質的金融緩和にマイナス金利政策をセットすることによって実質金利を低下させた効果を評価した上で、現行緩和策の拡大余地も強調する」と予想。緩和縮小方向での市場の疑念が晴れれば、「利回り低下でイールドカーブはフラット化する」とし、利回りが「ほぼ今年度中のピーク」に達した長期・超長期ゾーンは押し目買いのスタンスだと言う。

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  新発国債利回りは7月に、10年がマイナス0.3%、20年がマイナス0.005%、30年が0.015%、40年が0.045%といずれも過去最低を記録。しかし、日銀が同月末の決定会合で国債買い入れ増額やマイナス金利拡大による緩和強化に踏み込まず、9月会合での総括的検証を決めたことから上昇に転じた。今月2日には国債買い入れオペで超長期ゾーンを対象から外したため、検証後に超長期国債の買い入れが減額されるとの観測が広がり、10年債利回りがマイナス0.01%まで上昇したのをはじめ、軒並み3月以来の水準に戻す場面が見られた。

金利は再び過去最低へ

  佐野氏は、金利は今後低下するとし、「イールドカーブとしては7月に一番低いところを付けたが、そこに十分行くと思っている」と指摘。来年3月まで展望した場合、「瞬間的には超える可能性あり」だとし、10年債利回りはマイナス0.4%まで低下するとの予想を維持した。その他、20年債利回り0.05%、30年債利回り0.025%、40年債利回りはゼロ%までの低下を見込んでいる。

  2013年4月に導入された異次元緩和策の下、日銀の国債保有比率は発行残高の3割以上を占め、流動性の低下を背景に相場のボラティリティ(変動率)が高まりやすい状況を生み出している。償還期間が1年以上の国債相場の30日間ボラティリティは年初来の平均が4%と、少なくとも2000年以降の年率換算ベースで最高水準に達している。

  佐野氏は、日銀が大量に国債を買い入れることで流動性が奪われているとし、「金利のトレンドラインが下向きではあっても、今回のような検証におびえた状況になると、ささいなことで利回りが上がってしまう」と説明。10年債利回りが0.05%まで戻す局面もあり得るとみる。その上で、「日銀が圧倒的な買い手で基本的に売らないとなれば、一緒になって買っていればいい」とのスタンスは変わらないと言う。

(第7段落以降を追加して更新します.)
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