欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。

◎NY外為:ドルが続伸、9月利上げ観測が再浮上

  9日のニューヨーク外国為替市場ではドル指数が3日続伸。一方、南アフリカやブラジル、メキシコなど新興市場国の通貨は下落した。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利上げ観測が再浮上した。

  ボストン連銀のローゼングレン総裁は利上げを長く待ち過ぎれば米経済が過熱する恐れがあり、金融安定をリスクにさらしかねないと警鐘を鳴らした。商品相場が5日ぶりに上げ止まったことを嫌気し、豪ドルやノルウェー・クローネを含む高利回り通貨も下落した。

  トロント・ドミニオン銀行のシニア為替ストラテジスト、メイゼン・アイサ氏は「米国の金融政策に動きがなかったため、運用通貨がドルに対して堅調になっていた」と指摘した上で、「多くの米金融当局者が利上げの可能性が残っているとあらためて示唆したことが、市場に認識されたようだ」と述べた。

  今月の利上げ確率が高まったため、ドルは週間での下げをほぼ埋めた。欧州中央銀行(ECB)が7日の定例会合で債券購入計画の拡大について議論しなかったことが明らかになり、金融緩和拡大の利点について中銀が疑問を感じ始めているとの見方が強まった。これを背景に高利回り通貨の需要が弱まった。

  ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.5%上昇。ドルは対ユーロで0.2%高の1ユーロ=1.1233ドル、対円でも0.2%上げて1ドル=102円69銭。

  米ドルは南ア・ランドやブラジル・レアル、豪ドルに対して1%超の上昇。新興市場の20通貨で構成する指数は続落した。

  ブルームバーグがまとめたデータによれば、ユーロや円など低利回り4通貨に対してレアルやランドなど高利回り4通貨を買うキャリートレード戦略のリターンはこの日、約0.6%のマイナス。年初からのリターンをプラス6.2%に縮小した。昨年はマイナス8.5%だった。

  ブルームバーグがまとめたデータによると、金利先物市場が示唆する今月の利上げ確率は約30%。年末までの利上げ確率は58%となっている。この算出は利上げ後の実効フェデラルファンド(FF)金利が平均で0.625%になるとの仮定に基づいている。

  バークレイズの外為・金利ストラテジスト、アンドレス・ジェイム氏は「FOMCでは普段ハト派に属するとみられているローゼングレン総裁が、予想よりタカ派的な発言をしたことがドルを押し上げている。9月は利上げがあり得るライブな会合になるはずだ。年末まで少なくとも1回の利上げを市場が織り込むことを、当局は恐らく望んでいる」と語った。
原題:Dollar Jumps as Rising September Fed-Hike Odds Burn Rand to Real(抜粋)

◎米国株:大幅続落、ダウ平均約400ドル安-利上げ観測で

  9日の米国株式相場は続落。英国の欧州連合(EU)離脱が決まって以降で最大の下げとなり、ダウ工業株30種平均は400ドル近く下落した。ボストン連銀総裁は利上げに前向きの姿勢を示した。

  ボストン連銀のローゼングレン総裁は利上げを長く待ち過ぎれば米経済が過熱する恐れがあり、金融安定をリスクにさらしかねないと警鐘を鳴らした。

  S&P500種株価指数は前日比2.5%安の2127.81。2カ月ぶりの安値となった。週間ベースでは2月以来の大幅下落。ダウ工業株30種平均は前日比394.46ドル(2.1%)下げて18085.45ドル。ナスダック総合指数は2.5%値下がり。

  ジョーンズトレーディング・インスティテューショナル・サービシズのグローバル市場ストラテジスト、ユーセフ・アッバシ氏は電話取材で、「連邦公開市場委員会(FOMC)のハト派メンバーが利上げを支持し始めていることで、市場参加者は不安になっている」と指摘。「きょうは再浮上した9月利上げの可能性に向けて人々がポジションを整える、そういう一日だった。最近の経済指標が期待よりも軟調な中で、こうした状況が起きている」と述べた。

  通信サービス株が2014年2月以来の大幅安。公益事業は19カ月ぶりの大幅下落となった。今年に入って堅調だったエネルギーと素材も大きく値下がり。金利上昇で業績が支えられるとの観測から、銀行や保険会社の株価は比較的下げが抑制された。

  下げが目立った銘柄では、AT&Tが約2年ぶりの大幅安。アップルとアマゾン・ドット・コム、エクソンモービルも大きく値下がりした。

  ローゼングレン総裁の発言を受けて、市場が織り込む9月利上げの確率は一時38%に高まった。その後は30%に低下。7日には22%に後退していた。同確率が少なくとも50%となるのは12月以降。来週には小売売上高や消費者マインド指数、鉱工業生産などの経済指標が発表される。

  12日にはブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事が講演する。米10年債利回りは9日、約2カ月ぶりの高水準をつけた。

  テミス・トレーディングのマネジングディレクター兼株式トレーダー、マーク・ケプナー氏は電話取材で「利回りは過去数日に大きく動いた」とし、「債券相場が大きく動けば、株価は圧迫される。それが既にみられている。投資家らはこうした急速な動きを好まない」と述べた。

  S&P500種が1%以上動くのは約40営業日ぶり。過去約2カ月は30ポイント前後のレンジで推移してきたが、この日はこのレンジを下抜けた。
原題:U.S. Stocks Slide the Most Since Brexit Amid Rate Speculation(抜粋)

◎米国債:長期債中心に下落-金融緩和策の効果を疑問視

  9日の国債市場では米国やドイツ、日本などで相場が大きく下落した。各国の金融当局が、利回りを前例のない低い水準に押し下げてきた大規模な金融緩和策の効果を再考しつつあるとの懸念が強まった。

  この日は期間が長めの国債を中心に下げ、米30年債は2日間の下げとしては1年余りで最大となった。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は前日、政策委員会で債券購入の期間延長は協議しなかったと述べ、近く追加刺激策が発表されるとみていた投資家らを失望させた。7月には日本銀行が長期国債買い入れ増額を見送り、日銀が資産購入戦略を変更するとの観測が強まった。

  BMOキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、アーロン・コーリ氏は「日銀がイールドカーブの一段のフラット化を望んでいない可能性があるほか、マイナス金利の効果をこれまでほど確信していないとの見方が数週間前に広がり、まずは日本国債の利回りが上昇した」とし、「その後、ECBが現状維持を決定し量的緩和を拡大しなかったことで、利回りは一層押し上げられた」と指摘。大幅な調整局面に向かっているようだとの見方を示した。

  ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、米30年債利回りは前日比9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.39%。前日は7bp上げていた。同年債(表面利率2.25%、2046年8月償還)価格は96 29/32。

  2年債と30年債の利回り格差は161bpに拡大し、終値ベースでは8月3日以降で最大。

  オッペンハイマーファンズのクリシュナ・メマニ最高投資責任者(CIO)は「市場では大きな動きが見られるが、各国中銀が政策策定において限界に達したと考えるのはあまりに時期尚早だ」と指摘した。

  ボストン連銀のローゼングレン総裁はこの日、利上げまで長く待ち過ぎた場合、米経済の過熱を招く可能性があるとの認識を示した。

  ブルームバーグがまとめたデータによれば、先物市場に織り込まれる9月の利上げ確率は約30%。年末まででは58%となっている。この算出は、次回利上げ後に実効フェデラルファンド(FF)金利が平均0.625%になるとの想定に基づく。
原題:Bond Market Calm Shattered as Traders Doubt Central Bank Resolve(抜粋)

◎NY金:3日続落、利上げの可能性に備え投資家は守りの姿勢

  9日のニューヨーク金先物相場は3日続落。米ボストン連銀のローゼングレン総裁は利上げを長く待ち過ぎれば米経済が過熱する恐れがあり、金融安定を脅かしかねないと発言。投資家は守りの姿勢を強めた。

  RJOフューチャーズ(シカゴ)のシニアマーケットストラテジスト、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、「実際のところ利上げが今月あるかもしれないと、市場はかなり神経質になっている」と指摘。「金先物が1300ドル超えを維持してきており、投資家やトレーダーらはここがサポート水準のようだと認識している。まさかの利上げに備え、1300ドルのプットオプションで守りを固めるのは理にかなう」と述べた。

  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は前日比0.5%安の1オンス=1334.50ドルで終了。3日続落は7月12日以来の最長。

  銀先物も下落。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のプラチナとパラジウムも値下がりした。
原題:Gold Investors Brace for Lower Prices on Interest-Rate Outlook(抜粋)

◎NY原油:大幅反落、在庫急減は一時的現象との認識広がる

  9日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が大幅反落。先週の米在庫が17年ぶりの大幅減少となったのは熱帯暴風雨のために輸入と海底油田での生産に障害が生じたためであり、影響は一時的なものとみなされた。株安とドル高も売りを誘い、週間での上げ幅は3.2%に縮小した。

  コンサルティング会社ショーク・グループ(ペンシルベニア州ヴィラノヴァ)のスティーブン・ショーク社長は、「暴風雨に関連した一度限りの現象だとは知っていたが、きのうはこれを無視できた。ドライブシーズンが終わった現在もなお膨大な量の在庫があるという現実に、市場の関心が移った」と説明した。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物10月限は前日比1.74ドル(3.65%)安い1バレル=45.88ドルで終了。8月1日以来で最大の値下がりとなった。ロンドンICEのブレント11月限は1.98ドル(4%)下げて48.01ドル。
原題:Oil Tumbles Most in Month as U.S. Supply Plunge Seen as One-Off(抜粋)

◎欧州株:下落、トレーダーは先行き値動きの荒い展開に備え

  9日の欧州株式相場は下落し、指標のストックス欧州600指数は1カ月ぶりの下げ幅を記録した。4月以来の高値に押し上げた最近の楽観は後退し、域内ファンドからの資金流出が加速した。

  ストックス欧州600指数は1.1%安で取引を終えた。週間でも1.4%安。欧州株は小動きが続いているが、トレーダーらは先行き値動きが激しくなる展開に備えている。Vストックス指数に対する3カ月先のボラティリティ先物は2013年以来の高水準にある。

  ノッツ・ストゥッキ(ジュネーブ)のファンドマネジャー、ピエール・ムートン氏は「過去2カ月にわたった力強い上昇相場を経て、今後はボラティリティが上昇する。ECBの会合は終わったが、イタリアの国民投票や米大統領選など投資家を神経質にさせるイベントが数多く控えている」と語った。

  この日は業種別指数、西欧市場の主要指数のほとんどが下落した。英FTSE100指数は1.2%安、フランスCAC40指数は1.1%安。年初来の下げを解消したばかりのドイツDAX指数も1%安と売られ、年初からの騰落率は再びマイナスに陥った。ポルトガルやアイルランドの株価指数も大きく下げた。

  一方、ドイツ銀行は4.1%高。住宅ローン担保証券(RMBS)販売をめぐる米司法省の調査が決着に近づいていると報じられ、好感された。
原題:European Stock Bulls Retreat as Traders Bet on More Swings Ahead(抜粋)

◎欧州債:ドイツ債続落、10年債利回りは7月以来のプラスに

  9日の欧州債市場では、ドイツ10年債利回りが再びプラス圏に浮上した。

  欧州中央銀行(ECB)が追加金融緩和に消極的な姿勢を示し、その緩和スタンスに対する投資家の信頼が後退するなか、ドイツ10年債は2日続落した。利回りがプラスを付けるのは7月以来。

  スコシアバンク・ヨーロッパの金利ストラテジスト、フレデリック・プレテ氏(パリ在勤)は「ECBが8日、経済成長とインフレの予想を引き下げたにもかかわらず、まったく行動を起こさなかったのはやや意外だった」と発言。「過去には遅滞なくインフレを目標に戻したいと表明していた。だが、もはやそうではなくなったということだ」と語った。

  ロンドン時間午後3時41分現在、ドイツ10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇のプラス0.006%。前日も6bp上昇しており、2日間の上昇幅としては3月以来の大きさ。2026年8月償還債(表面利率ゼロ)の価格は0.663低下の99.944となった。

  30年債利回りは10bp上昇の0.61%で、英国の欧州連合(EU)離脱選択が明らかになった6月24日以来の高水準に達した。
原題:German Bond Yield Turns Positive as Traders Reappraise ECB’s QE

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