債券下落、長期ゾーンの日銀オペ見送りでスティープ化-ECB失望も

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  • 先物は18銭安の151円13銭で終了、新発20年債利回り0.435%まで上昇
  • 残存5年以下の日銀国債買い入れオペ:全年限で応札倍率が低下

債券相場は下落。欧州中央銀行(ECB)が金融政策の現状維持を決めたことを受けて欧州主要国の債券が安くなり、米国債相場が下げた流れを引き継ぎ、売りが先行した。さらに、日本銀行が長いゾーンの国債買い入れオペを実施しなかったことで、利回り曲線はベアスティープ(傾斜)化が続いた。

  9日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比16銭安の151円15銭で開始し、151円13銭まで下落。オペ結果を受けて、午後の取引開始後に一時3銭高の151円34銭まで上昇したが、再びマイナス圏で推移し、結局は18銭安の151円13銭とこの日の安値で引けた。

  9月物は12日に最終売買日を迎える。限月交代に向けた取引が膨らみ、12月物の売買高は9月物を上回った。日本取引所はこの日の夜間取引から中心限月が12月物に移行と発表した。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループ理事兼副ヘッドは、「昨日の中曽宏日銀副総裁の講演を受け、国債買い入れ規模の柔軟化による実質的な減額の観測がまたくすぶり始めた」と指摘。「今日のオペで長いゾーンが見送られ、日銀がイールドカーブを立たせたいのではないかという思惑も出ており、金利上昇要因となっている」と述べた。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の344回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.025%で開始。午後はマイナス0.035%まで戻したが、再び水準を切り上げ、マイナス0.015%を付けた。新発2年物の368回債利回りは横ばいのマイナス0.20%で開始し、一時マイナス0.21%まで下げ、その後はマイナス0.205%で推移した。

  超長期債は引き続き安い。新発20年物157回債利回りは5bp高い0.435%と3月31日以来の水準まで売られた。新発30年物の52回債利回りは一時7bp高い0.515%を付け、新発40年物の9回債利回りは2.5bp高い0.545%で推移した。

  日銀はこの日、今月3回目となる長期国債買い入れオペを実施した。対象は残存期間「1年以下」、「1年超3年以下」、「3年超5年以下」で、長期や超長期ゾーンは通知されなかった。正午前に発表されたオペ結果によると、全年限で応札倍率が前回から低下。このうち、「1年超3年以下」はこれまで最低だった2015年5月25日の1.68倍を下回った。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部商品課の鈴木秀雄課長は、残存期間1-3年が強くなった理由について、「特にないと思う。ただ、2年債利回りが下がりづらくなっている中で、ネガティブキャリーが深くて業者も在庫を持ちづらいところ。そういう中で、単純に現物がなかったことが影響した可能性はある」と分析した。

スティープ化

  三菱UFJ信託銀の鈴木氏は、日銀が20、21両日の金融政策決定会合で行う総括的な検証について、「マイナス金利には副作用はあるが、いざとなったら緩和を実施するスタンスでいくのではないか。量についても80兆円から減らさない、もしくはレンジにしても平均して80兆円というところに落ち着くのではないか」と指摘。「その中で、短期債や超長期債の買い入れの量の調整を行っていくとみる」と言う。「結局、10年以下の金利上がりづらい状況が続きそうで、10年債利回りはプラスにならないとみている」と話した。

中曽日銀副総裁

Photographer: Rony Zakaria/Bloomberg

  日銀の中曽副総裁は8日の講演で、現在の政策の枠組みに、「必要ならどのような修正が必要か判断したい」と述べた。

  マイナス金利付き量的質的金融緩和について、副総裁は、「国債や貸し出し・ 社債などの金利は大きく低下し、その面で顕著な効果を発揮している」と述べつつも、「金融市場の流動性や金融機関の収益などにも影響を及ぼしている」と指摘。こうした政策の効果と影響についても検証すると語った。  

  8日の米国債相場は下落。米10年物国債利回りは前日比6bp上昇の1.60%程度で引けた。ドイツ国債も下落した。欧州中央銀行(ECB)が利下げと資産買い入れ策拡ECBが政策金利の据え置きと量的緩和プログラムの現状維持を決定し、ドラギ総裁が新たな刺激策は当面必要ないと述べたことが手掛かりとなった。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「ECBの結果で、ここまで動く必要はなかったのにボラタイルな展開になっている。海外の金利が上昇すれば売り、低下すれば買いという感じ」と述べた。

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