非効率な国有企業はびこる中国経済-肝いりの改革、達成可能か

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  • 国有企業が成長の足かせになっている-15年のROAは2.8%
  • 中国では労働生産性の伸びが極めて低く、日米欧に圧倒的に劣る

中国指導部が直面している国有企業改革の課題がいかに大きいかを把握したいなら、この事実を知ってほしい。鉄道車両メーカーから銀行や電力会社に至る国有企業100社余りの売上高を合わせると日本の経済規模4兆1000億ドル(約417兆円)に匹敵する。10兆ドル規模に上る中国経済で非効率な国有企業がはびこっている。

  伝統的に政治支援を受け、共産党の経済力となってきた国有企業は、中国の鉱工業資産の約40%、雇用全体の18%を占める。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のエコノミスト、フィールディング・チェン、トム・オーリック両氏はこう指摘する。これらの国有企業は経済成長の足かせとなっており、2015年の総資産利益率(ROA)は2.8%にとどまったもようで、民間企業の10.6%とは大きな開きがある。

  習近平国家主席と李克強首相の肝いりの経済政策は経済モデルの転換だ。中国経済を借金に基づくインフラ投資と輸出への過度な依存から脱却させ、サービス業と個人消費がけん引するモデルへのリバランスを図っている。その実現には国有企業の規模縮小と収益性向上が極めて重要で、14年の終盤以降に発表された資産統合は約1兆ドルに達し、合併が1つの戦略として支持されている。

各国の経済規模と中国国有企業の売上高の比較

  中国では労働生産性の伸びが極めて低い。今でも日米欧と比べると圧倒的に劣っており、改善が進む可能性は小さい。BIのチェン氏は「拡大しつつある非効率な国有企業セクターを改革する政府の能力が中国の中期的な成長見通しを左右する」と分析。「効率向上に大規模な主要企業の民営化が必要なわけではない。戦略的セクターにおける大国有企業は、スリム化して中核事業に注力し、民間企業との競争余地を増やすよう求められている」と論じている。

  フィッチ・グループの調査会社BMIリサーチは8月30日のリポートで、改革加速に向けた中央政府による最近の動きは「正しい方向」だとしながらも、「これらの改革には地方政府から個別の国有企業に至るさまざまなステークホルダーの協力や民間企業の関与が必要であり、実施は段階的になる公算が大きいと考えられる」と指摘した。

原題:China’s $1 Trillion Makeover of Bloated SOEs Attracts Skeptics(抜粋)

(最終段落に調査会社のコメントを追加して更新します.)
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