債券下落、日銀副総裁発言で売り優勢-緩和のハードル高く映るとの声

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  • 先物は17銭安の151円31銭で終了、長期金利マイナス0.04%に上昇
  • 新発20年債利回り0.39%、新発30年債利回り0.45%まで上昇

債券相場は下落。金融政策の先行きに対する不透明感が強い中、日本銀行の中曽宏日銀副総裁の講演での発言をきっかけに売りが優勢となった。

  8日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比4銭高の151円52銭で取引を開始し、一時151円60銭まで上昇した。午後に入ると水準を切り下げ、151円29銭まで下落。結局17銭安の151円31銭と、この日の安値圏で引けた。

  ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、先日の黒田東彦総裁と、この日の中曽副総裁の発言からは、現状のマイナス金利付き量的・質的緩和の効果はあるが、副作用もありますという内容だと指摘。「マイナス金利で短い年限から長い年限まで金利が下がる効果があったが、あらためてその弊害にも言及している。追加緩和でマイナス金利深掘りや量の拡大をやる時はやるが、ハードルは高いと映る」と述べた。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の344回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.065%で開始し、マイナス0.07%まで下げた。午後はマイナス0.04%まで売られた。新発20年物の157回債利回りは3bp低い0.325%まで低下したが、その後0.39%まで上昇。新発30年物の52回債利回りは4bp低い0.375%まで下げた後、0.45%を付けている。

副総裁講演

  日銀の中曽副総裁はこの日午後の講演で、20、21両日の金融政策決定会合で行う総括的な検証について、現在の政策の枠組みに「必要ならどのような修正が必要か判断したい」と述べた。マイナス金利付き量的質的金融緩和について、「国債や貸し出し・ 社債などの金利は大きく低下し、その面で顕著な効果を発揮している」と述べつつも、「金融市場の流動性や金融機関の収益などにも影響を及ぼしている」と指摘。こうした政策の効果と影響についても検証すると語った。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「中曽副総裁の発言自体はマイナス金利の深掘りの可能性が小さいことや、量的緩和の柔軟化、購入を減らすもしくはレンジ運用を意識させるものとなっており、これが理由で売りが優勢になっている」と話した。

中曽日銀副総裁

Photographer: Rony Zakaria/Bloomberg

  黒田日銀総裁は5日に行われた講演で、三次元での追加緩和余地があると指摘した一方、マイナス金利政策の副作用にも言及した。

5日の黒田日銀総裁の講演記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい。

5年債入札

  財務省が午後発表した表面利率0.1%の5年利付国債(129回債)の入札結果によると、最低落札価格は101円38銭と予想を1銭上回った。小さければ好調なテール(平均と最低落札価格の差)は1銭と前回と横ばい。投資家需要を反映する応札倍率は3.03倍と、昨年10月以来の低水準となった。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループ理事兼副ヘッドは、5年債入札について、「ほぼ予想通りだが若干強めの結果。個人的にはないと思うが、日銀の検証と同時に利下げとの見方も残っている。量を確保しておこうという動きもあったのだろう」と話した。

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