日本国債は絶好の買い場、UBSは長期金利が過去最低回帰見込む

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  • PD13社の予想中央値は年末にマイナス0.15%-長期金利
  • 今月に追加緩和なければドル100円突破の恐れとUBS

主要な証券会社とメガバンクの利回り予測に従えば、日本国債は絶好の買い場を迎えているようだ。一時ゼロ%に迫った長期金利は再び低下をたどり、全社が少なくとも今年度中はマイナス圏にとどまるとみている。

  ブルームバーグがプライマリーディーラー(国債市場特別参加者)13社に今週、長期金利の指標となる新発10年国債利回りの見通しを聞いたところ、予想中央値は2016年末、来年3月末ともマイナス0.15%と、7日より9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い水準となった。プラス圏に戻るとの見方は皆無。最も低かったのはUBS証券と東海東京証券で、7月に記録した過去最低に並ぶマイナス0.30%だった。

プライマリーディーラー(左側)

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  黒田東彦総裁が2%の物価目標を掲げて異次元緩和を始めてから3年半近く、マイナス金利の導入から7カ月余り。日本銀行は20、21日の決定会合で金融緩和の「総括的な検証」を実施する。市場では日銀がイールドカーブの過度なフラット化を懸念しているとの観測が台頭し、長期金利は今週、約5カ月半ぶりにマイナス0.01%に上昇した。円相場は過去1カ月で16通貨中、12通貨に対して下落している。

  UBS証券の青木大樹シニアエコノミストは「9月会合で追加緩和しなければ、一番の不確実性である円高リスクが表面化し、対ドルで100円を突破しかねない。日本の適合的なインフレ期待をさらに弱めてしまう恐れがある」と指摘。「マイナス金利の20bp深掘りとイールドカーブをスティープ(傾斜)化させる手段の組み合わせ」に加え、「大規模な国債買い入れの持続可能性に懸念が生じないよう、購入額の柔軟化もある」と読む。

  今回の調査で10年債利回りの年末予測値が次に低かったのは岡三証券のマイナス0.25%、JPモルガン証券がマイナス0.20%で続いた。中央値のマイナス0.15%と一致したのはみずほ証券とメリルリンチ日本証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券。最も多かったのはマイナス0.10%の4社で、ドイツ証券とバークレイズ証券、三井住友銀行、大和証券だった。BNPパリバ証券とSMBC日興証券のマイナス0.05%が最も高かった。

8月は大幅な利回り上昇

  10年債利回りはマイナス金利の導入直後と投資家のリスク回避志向が世界的に高まった7月上旬にかけては低下に拍車が掛かった。ただ、日銀が7月末に黒田緩和の自己評価を9月に実施すると表明すると、市場の一部では異次元緩和の縮小観測も浮上。先月は13年12月以来の大幅な利回り上昇となった。ブルームバーグ/EFFAS指数によると、償還まで1年超の日本国債は7月末から足元までの収益率が約1.7%と26カ国で最も低い。

  黒田総裁は5日の講演で、前例のない金融緩和はイールドカーブ全体の低下に大きな効果がある極めて強力な枠組みだと説明した。今月の総括的な検証は緩和を縮小する方向の議論ではないとし、量・質・金利の「各次元の拡大はまだ十分可能」だと指摘。意識すべきは「限界」ではなく「ベネフィットとコストの比較」であり、日本経済全体にとって必要なら躊躇(ちゅうちょ)すべきではないとの見解を示した。

  プライマリーディラー13社のうち、5社は日銀が再来週に追加緩和すると予測し、3社は年内の実施を見込む。岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、日銀が再来週にマイナス金利を0.1%ポイント深掘りするとともに、量的な拡大もあり得ると予想。国債利回りは年末にかけて低下した後、来春まで横ばい圏内で推移すると読む。

20年債予想は0.23%

  超長期国債で発行額が最も多い20年債の利回りは7月に初めてゼロ%を割り込み、マイナス0.005%まで下げた後、今週初めには0.43%と3月31日以来の高水準を付けた。それでも、13社は今年末、来年3月末とも0.23%と予測。イールドカーブのスティープ(傾斜)化に歯止めが掛からなくなるとは見込んでいない。東海東京証が0.05%と最も低く、次は三井住友銀の0.10%だった。

  バークレイズ証の押久保直也債券ストラテジストは、日銀による巨額の国債購入が続く中で、金利は上がりにくいと指摘。行き過ぎたスティープ化は収束に向かうとみる。ドイツ証の山下周チーフ金利ストラテジストは、日銀の「次の一手」は量的な拡大だと予想。投資家には「20年債の買い下がり」を推奨している。

フラット化に回帰

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは「日本の物価を毎年2%上げていくのは難しい。円安による短期的な上昇はあっても、企業が値上げと賃上げを続けるのは難しいからだ」と指摘。日銀は9月に国債買い入れ規模の柔軟化は打ち出すが、規模自体は据え置くと読む。「市場の初期反応はスティープ化だろうが、いずれ巨額の買い入れに押されてフラット化に戻る」と言う。

  全国消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)は原油安を背景に低迷が長期化。7月にはマイナス0.5%と異次元緩和の導入直前の水準に逆戻りした。日銀は2%への到達時期を4回も先送りし、今では「17年度中」と説明。それでも、ブルームバーグのエコノミスト調査で実現を見込むのは38人中1人だけだった。

  ブルームバーグのデータによれば、10年債を昨日購入した投資家は年末の利回りがプライマリーディラー13社の予測通りにマイナス0.15%になれば、税引き前で3.1%前後の収益を得られる計算だ。

  三菱モルガン証の六車治美シニアマーケットエコノミストは、黒田緩和が「実質金利を低下させているという日銀の肯定的な判断は揺るがない」と指摘。国債市場は「9月会合での緩和縮小や金利上昇はないとの安心感から落ち着いてきた。金利の低位安定が続く超需給相場に戻っていくだろう」と語った。

年末の10年債 3月末の10年債年末の20年債3月末の20年債
BNPパリバ▲0.05▲0.050.350.35
SMBC日興▲0.05▲0.150.300.20
ドイツ証▲0.10▲0.100.300.30
バークレイズ▲0.10▲0.050.300.30
三井住友銀▲0.10▲0.100.100.10
大和▲0.10▲0.100.300.30
みずほ証▲0.15▲0.150.150.15
メリル日本証▲0.15▲0.170.180.13
三菱モルガン▲0.15▲0.150.250.25
JPモルガン▲0.20▲0.200.200.25
岡三▲0.25▲0.250.150.15
UBS証▲0.30▲0.25NANA
東海東京証▲0.30▲0.250.050.10
中央値▲0.15▲0.150.220.22
(第9段落以降を追加して更新します.)
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