欧州有数の地震国イタリア、建物7割に耐震なし-地震が経済も揺らす

丘の上に立つ中世の村を完全に破壊した先月の地震は、イタリアにとって約7年間で3回目の大地震だった。崩れやすい建物に停滞した経済が重なり、復興をはるかに困難にしている。

  今回の地震による死者は292人。2012年に発生した前回の大地震に比べ10倍多く、犠牲者が309人に上った09年の地震をわずかに下回るにすぎない。いまだ地震の衝撃から立ち直れていないイタリアだが、避難生活を強いられている数千人に定住先を見つけ、再建するという課題に向き合わなければならない。

イタリア中部地震

Photographer: Alessia Pierdomenico/Bloomberg

  LCマクロ・アドバイザーズの創業者でチーフエコノミストのロレンツォ・コドーニョ氏は、今回の地震による被災地は農村部で人口も少ないことから、最終的な経済費用は前2回の大地震の半分程度に当たる50億ユーロ(約5700億円)と見積もる。同氏以外の予測も10億-110億ドル(約1020億-約1兆1200億円)の範囲にわたる。

  イタリア財務局の元チーフエコノミストでもあるコドーニョ氏はインタビューで、「微々たる額でないのは明らかだが、イタリア経済の規模を考慮すれば経済費用として見積もられている数字は恐らく吸収可能だ」と指摘。政府の対応は耐震用の改築に対する既存の税制優遇について資金を補充するくらいで、「これ以外に追加的な措置が講じられるとは思わない。全てのこうした地域に対策を施すのは費用がかかり過ぎるからだ」と見方を示した。

  イタリア地質・火山学研究所の複数の会員によると、国内のほぼ7割の建物は耐震措置が施されていない。国連が最近、イタリアが地震対策に必要な額として示唆した数字は年98億ドルに上る。それでも実際、同国が無数に抱える世界的な遺産の保護は不可能かもしれない。

  ローマやバチカン、斜塔のあるピサ、ロミオとジュリエットの舞台となったバルコニーのあるベローナなど、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の指定を受けた51の世界遺産のうちほぼ半数が3回の大地震の震央から100マイル(約160キロメートル)圏内にある。

  欧州で他にイタリアほど地震が頻発する国はギリシャとアイスランドしかない。しかもギリシャで多くの地震が発生するのは海上で、アイスランドはもともと人口が少ない。

原題:Italy’s Tremble-Prone Geology Shakes the Economy(抜粋)

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