ECB、ゲームのルールを見直しも-債券不足に対応し、QE延長か

  • ルールを変更しなければ債券購入プログラムの延長は容易でなかろう
  • 購入債券の最低利回り要件や保有上限、新たな資産クラスも検討か

欧州中央銀行(ECB)が債券購入を継続したいと望むなら、ゲームのルールを変える必要があるかもしれない。

  ドラギ総裁の下での1兆7000億ユーロ(約195兆円)相当の資産購入プログラムは、来年3月に終了を予定。しかし、ユーロ圏のインフレはなお弱く、英国の欧州連合(EU)離脱に伴う衝撃はこれからが本番となる可能性がある。ブルームバーグが調査したエコノミストの大部分が予想する通り、ECBが量的緩和(QE)の期間延長を決定すれば、買い入れ資産の適格条件再考を迫られることになろう。

ドラギ総裁

Photographer: Jasper Juinen/Bloomberg

  今週の政策委員会では、最終決定が行われないとしても、ECBが資産購入で自らに課す制限が焦点となりそうだ。ドラギ総裁は7月の政策委の際、必要な場合はQEの調整が可能だとECB当局者がこれまで明言してきたと述べ、月額800億ユーロの資産購入を来年3月まで継続し、「必要ならそれ以上のことを行う」という約束を守る能力を疑うべきでないと説明した。ECBの主要な選択肢を次に挙げる。

オプション1

  公的部門証券の単一銘柄をユーロ圏の中央銀行が保有できる上限は、集団行動条項(CAC)の規定がない証券発行残高の25%から33%に既に引き上げられており、一つの債券発行体へのエクスポージャーも33%の上限が適用される。ブルームバーグ・インテリジェンスのエコノミストによると、保有上限の引き上げは「最も可能性の高い」選択肢であり、8日に発表されることもありそうだ。発行体へのエクスポージャーの上限も引き上げられる可能性があるが、ECBが市場をゆがめ、EU法が禁じる財政赤字のファイナンスと見なされる恐れもある。

オプション2

  ECBの債券購入プログラムの買い入れ対象となる債券の利回りは、中銀預金金利(現行マイナス0.4%)が下限となる。バークレイズによれば、最低利回り要件の引き下げ、あるいは撤廃は、実行が最も容易な選択肢の一つと考えられる。英国のEU離脱に伴う景気減速懸念で安全な投資先を求める動きが広がり、ドイツ債の3分の2が適格条件を満たしていないが、利回り要件の緩和・撤廃で購入可能な債券プールが拡大する。

オプション3

  現行の債券購入プログラムでは、経済規模に応じて定められたECBへの出資比率(キャピタルキー)に基づき、各国の公的セクターが発行した債券の購入額が決まる。ECBは買い入れ額をキャピタルキーではなく、債券の発行残高に連動させることも可能だ。ドイツ債などが不足する不安が和らぐだけではない。ゴールドマン・サックス・グループの8月のリポートによると、ユーロ圏周辺国の債券購入を促すことで財政の余裕が広がり、実体経済に恩恵を与える効果も期待できる。

オプション4

  カバード債や資産担保証券(ABS)からスタートしたECBの資産購入プログラムは、ソブリン債、機関債のほか、地方債や社債にまで拡大した。より思い切った措置としては、新たな資産クラスの特定が挙げられよう。J・サフラ・サラシンのカルステン・ユニウス氏は、株式を対象に加えることを提案。上場投資信託(ETF)が一つの手段となるかもしれない。ただ、一部の資産クラスについては物議を醸す恐れもある。銀行債の買い入れは、監督機関としてのECBの役割との間で利益相反が生じることにもなりかねない。

原題:ECB Faces Bond-Buying Shuffle With QE Extension on the Cards (1)(抜粋)

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