日本株の短期上昇局面は終了、早期の米利上げ観測が一服-需給壁

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日経平均株価がおよそ3カ月ぶりに1万7000円台を回復後、上値の重い展開となっている。8月下旬以降の為替のドル高・円安進行を演出した米国の早期利上げ観測がやや弱まったためだ。需給面でも売り圧力の多いゾーンに入り、日本株の短期上昇局面は既に終わった可能性がある。

  第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げに動くなら、「入念な地ならしが必要。9月の利上げがなくなったと決め打ちできる状況にはないが、FOMCが近づけば市場は現実路線にシフトする」と予想。米国の利上げ実施は12月に先送りされるとの見方が再度強まってきた現状、「為替はドル安・円高方向に戻すため、日本株も上値を抑えられ、日経平均は1万6000円台後半に調整する」とみている。

  FRBのイエレン議長は8月26日、米ジャクソンホールでの講演で、「労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とインフレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はこの数カ月で強まったと考えられる」と発言した。

  20ー21日に開かれる9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が強まり、ドル・円相場は1ドル=100円台前半から一時104円台前半までドル高・円安が進行。企業業績に対する楽観的な見方や投資家の間でリスク選好姿勢が広がったことなどで、日経平均は5日の取引で5月31日以来、終値で1万7000円を回復した。

  しかし、米供給管理協会(ISM)による8月の製造業総合景況指数が6カ月ぶりに縮小したほか、2日公表の8月の米雇用統計も非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を下回り、9月利上げ実施に対する投資家の期待も後退。さらに、6日のISM非製造業指数も2010年2月以来の低水準となったため、FF金利先物市場が織り込む9月の利上げ確率は、6日時点で24%と1週間前の34%から急低下した。一方、12月14日のFOMCまでの年内利上げ確率は52%だ。

  三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは、「米利上げは12月との見方が基本線となる中、日本株はしばらく持ち高を傾けにくいタイミング」と言う。日経平均はことし前半の急落後の戻り高値である1万7613円(4月25日)が当面の節に当たり、「1万7000円台での戻り売りを消化するのは難しい」との見方も示す。

  ブルームバーグ・データで年初来の日経平均の価格別出来高をみると、1月に最も売買が多かった価格が1万7030円だったのをはじめ、3月も1万7000円と現状の水準は過去に売買が膨らんだゾーンだった。また、大和証券投資戦略部の木野内栄治チーフテクニカルアナリストによれば、2月安値、6月安値をダブルボトムとした場合、チャート上のネックラインが1万7000円台半ばにあるという。

8月以降の日経平均株価の価格帯別出来高

  野村証券投資情報部の山口正章エクイティ・マーケット・ストラテジストは、雇用統計の結果を受け、米利上げの実施時期は12月との見方が有力になったと指摘。一段のドル高・円安を通じた株高シナリオは描きにくくなったが、「早期利上げ期待の後退に伴う米景気への安心感、足元の円高回避などが日本株を支える材料となる」とみている。

  7日の日本株は、ISM非製造業指数の悪化と為替の円高進行が嫌気され、日経平均は一時178円安の1万6903円と3営業日ぶりに1万7000円を下回る場面があった。一方で、取引終了にかけては下げ渋り、終値は1万7012円44銭。

(一部データを最新に更新、文末に7日の日本株動向を追記.)
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