利上げ時期探る米金融当局、「いつか来た道」-昨年と今年の類似点

  • 8月の雇用者数の増加幅や製造業景況指数は前年同月と似た動き
  • 市場やエコノミストは9月利上げの可能性に懐疑的

7月に急増した米雇用者数は、8月には伸びが鈍化した。年明けからずっと利上げに備えてきた市場では、いったん6月に引き締め観測が大幅に高まったが、その後は12月に目を向けている。

  エコノミストの多くは、米金融当局が9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で意見の一致を図り、次の行動についてシグナルを発すると予想している。

  これは2015年の出来事だ。

  そして今年、米金融当局は昨年と同様に9月利上げか12月利上げかでジレンマに陥っている。もちろん、15年と16年では大きな違いもある。昨年の場合、中国当局による事実上の人民元相場切り下げで国際的なリスクが高まったのに対し、今年は米大統領選が迫りつつある。それでも、利上げ実施を目指す米当局の政策運営を取り巻く環境は多くの点で著しく類似している。

いつか来た道?

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロバート・ペルリ氏(ワシントン在勤)は、今年7、8両月の非農業部門雇用者数の伸びがいずれも前年同月とほぼ同じとなったとし、「類似部分は多い」と指摘。「恐らく当局は昨年と全く同じように12月に利上げに動くだろう」との見通しを示した。

  2日発表された8月の雇用統計では、同雇用者数の伸びが最近の傾向からやや鈍化したことが示された。これは昨年の場合と極めて似通っている。なお、15年8月の雇用者数の増加幅は当初発表の17万3000人から下方修正された。

  製造業も昨年と同様のトレンドとなっており、米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業総合景況指数は低下。今年の場合、8月の落ち込みは7-9月(第3四半期)の成長回復の勢いが予想よりも弱くなるリスクを示唆している。

  こうした軟調な兆候を背景に、市場やエコノミストは差し迫った米利上げの見通しを何度も後退させており、それぞれの年の9月と12月について、市場が現在織り込む利上げ確率は昨年9月時点の数字と基本的に同水準となっている。

  昨年は、米国内外の不確実要因によって、米利上げは12月までずれ込んだ。今年も同じような展開となるかもしれないが、それが既定路線ではないことを留意するのが重要だ。米当局はまた、11月初めのFOMCで利上げに踏み切る可能性が皆無なわけではない。ただ、米大統領選の1週間前であり、会合後のイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長による記者会見も予定されていないことから、その可能性は小さいと考えられる。

  昨年のこの時期に比べ、米金融当局者を一段と安心させるであろう重要な要素が1つある。それは総合インフレ率がなお当局目標の2%を下回っているものの、15年の水準の倍程度となっている点だ。

  労働市場に関して非常に良い感触を持っていると明言するイエレン議長ら当局者が、物価圧力の高まりを待ち望んでいることを踏まえれば、こうしたインフレ率の動向は重要な検討のポイントとなる。

  アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「9月と12月の間で揺れ動き、利上げ実施への主要な障害の1つがインフレをめぐる情勢であるならば、9月会合は当局者にとってまだ機が熟していないと見受けられる」と語った。

原題:Yellen’s Fed Living a Flashback as 2016 Economy Echoes Last Year(抜粋)

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