崩れ始めた米主要500社の手元資金-減益でも自社株買い・配当に散財

  • 1年半にわたる利益減少や自社株買い・配当への散財が影響
  • 自社株買いや配当の一部見直しが必要に

米企業の備えが徐々に縮小している。

  うずたかく積み上がっていた米企業の手元資金は、1年半にわたる利益減少や自社株買い・配当への散財の結果、崩れ始めている。ブルームバーグの集計データによれば、S&P500種株価指数構成企業の現金および同等物は中央値で8億6000万ドル(約890億円)に減少し、この3年間は目にしなかった水準に落ち込んだ。

  手元資金減少は経営破綻が相次ぐ前兆ではないものの、減益について株主をなだめようとする企業経営者の綱渡りを難しくする。米連邦準備制度が利上げを検討する状況では、自社株買いへの支出は一層難しくなりつつある。

  ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのグローバル・クオンツストラテジスト、サミーア・サマナ氏は「融資が厳しくなり始めると影響が出始め、企業はこうした自社株買い発表や配当の一部について見直しを余儀なくされるだろう」と述べ、「既にそうした状況が見えており、心配だ」と語った。

  一見すると、S&P500種構成企業の手元資金は潤沢なように見え、金融機関以外の手元資金は第2四半期末時点で8250億ドルと、強気相場のピークに近い水準にある。しかし問題は、この資金が少数の企業に集中している点だ。同指数構成企業の資金力で上位50社が全体の半分以上を占めており、残る9割の企業の手元資金は強気相場の初め以降で最も急ピッチに減少している。

  問題の核心は企業利益の悪化だ。S&P500種構成企業の利益は6四半期連続でマイナス成長で、今四半期についても1.4%減益が見込まれている。これら構成企業の前四半期末までの1年間のEBIT(利払い・税金前利益)は1兆1000億ドルと、2011年以来の低水準。

  手元資金減少の大部分は、速やかな資金補充がない状況での株主還元の動きを表している。バークレイズ・キャピタルの8月のリポートによると、S&P500種構成企業の自社株買いと配当の総額は、今年の年間利益の約128%に相当し、金融危機時を除けば最高の水準だ。

  企業の間では現在の支出水準の維持に既に疲れている兆しが見える。バークレイズによると、新規の自社株買い発表は15年以降1150億ドル減少し、配当の伸びは10年以降で最低のペースだという。こうした支出の鈍化は、バークレイズの株式ストラテジスト、ジョナサン・グリオナ氏にとって不安材料で、利益の改善がなければ配当は伸び悩み、その結果、株式相場の上昇が鈍る可能性が高いという。

原題:Buyback Addiction Getting Costly for S&P 500 CEOs Burning Cash(抜粋)

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