商船三井や川崎汽船、運賃上昇で信用力回復-韓国の競合破綻で利益も

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  • 韓進海運が法的整理を申請、国内海運2社のCDS、低下鮮明に
  • 韓進の運航停滞で国内勢の利益増加も影響は一時的-三菱モルガン

新興国の景気後退などを背景に悪化していた商船三井川崎汽船の信用力が大きく回復している。競合相手の韓国最大手、韓進海運の経営破綻に伴う需給のひっ迫から海運運賃が上昇していることなどが要因だ。両社の株価も大きく上昇している。

  CMAによると5年物CDS(社債保証コスト)は川崎汽船が直近ピークの2月から半分以下の140ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。商船三井では1日、約1年ぶりの低水準となる129.5bpに低下。21年償還債の対国債スプレッドもマイナス金利政策導入以降で最小化した。

  ばら積み船の運賃市況を示すバルチック海運指数は、中国の景気鈍化などを背景に2月10日にはデータでさかのぼれる過去最低の290ポイントまで下がっていたが、直近では724ポイントまで回復。上海海運取引所のコンテナ船スポット運賃指数も2日に今年最高を記録した。

韓進海運のコンテナ

Photographer: Tim Rue/Bloomberg

  背景には原油価格回復などのほかに、コンテナ輸送で世界7位のシェアを持つ韓進海運の経営破綻がある。同社は31日に韓国で法定管理を申請。差し押さえの懸念などから、同社の船舶は海上や各国の港で立ち往生している。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安藤誠悟シニアアナリストは韓進の問題でコンテナ船などが足止めされ「北米向けの市場シェア7.8%分のキャパシティが消えて積み残しが発生しており、需要の急増で運賃の上昇が起きている」という。中国の国慶節を控えて「9月は海運のピークシーズン」でもあり、国内海運会社には恩恵になるとの見方を示した。

  格付け会社フィッチ・レーティングスは、韓進海運の法定管理入りに続いて、海運業界でさらなる再編や破綻が起きると見ており、その結果として運賃は上がっていくとの見方を電子メールを通じて発表した。

長期的にはネガティブ   

  一方、みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは、海運業界について「短期的には需給が改善する可能性から運賃が上がっているが、長い目で見たらあまり効果はない」と指摘。またマイナス金利に伴う運用難の中、利回りの乗った海運会社債に買いが集まり上乗せ金利(スプレッド)は低下してきているという。

  三菱モルガンの安藤氏は、韓進の破綻で一時的な恩恵はあっても、別の企業が低コストで韓進の船舶を取得することにつながるため、結果的には「運賃が下がりやすくなる。海運業界での破綻は長期的にはネガティブだ」と語った。

  SMBC日興証券の橋本宗治クレジットアナリストは、韓進が破綻しても、「船がスクラップになるわけではない」ため需給の状況もいずれは元に戻ると見ており、国内海運会社の信用評価も「業界構造が変わるとか、需給のタイト化が見えない限りは変わらない」と語った。

  川崎汽船は4-6月期に267億円の純損失を計上。商船三井は7月に2017年3月期の営業損益が赤字に転落する見込みだと発表している。

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