【コラム】米金融当局の議論白熱化は必至、雇用統計で-エラリアン

私は8月の米雇用統計の発表に先立ち、利上げ時期を探る米金融当局にとって同統計が非常に大きな影響を及ぼすだろうと指摘してきた。2日発表の同統計は失望をもたらすような内容ではなかったため、当局の内外で白熱した議論が繰り広げられるのは確かだろう。

  8月の非農業部門雇用者数は前月比15万1000人増となった。予想平均の18万人増には満たなかったものの、5月の顕著な弱い伸びが例外的な数字であったことについては、今回示された雇用拡大ペースで決着が付くだろう。堅調な伸びは、雇用創出の点で米国が引き続き世界をリードする立場にあることを確認した。

  だが、賃金の伸び悩みは依然、懸念材料だ。8月の失業率は4.9%と7月と変わらずだったが、平均時給の伸びは前月比0.1%にとどまり、7月の0.3%から鈍化。前年同月比では2.4%とやはり7月を下回る伸びとなった。

  職探しを諦めていた人々の労働市場再参入のペースによって強く左右される労働参加率は62.8%と前月と変わらずで、数十年ぶりの低水準に不快なほど近い。これは将来の潜在力に対する構造的な障害と金融政策の効果についての懸念を際立たせるものだ。就業率も59.7%と前月と変わらずで、労働市場に残されたスラック(たるみ)について疑問を生じさせる。

  8月の雇用統計は全体的には、景気の底上げにはまだ力不足ではあるものの、堅固な労働市場が米国および世界の成長の一貫したけん引役として消費を支え続けているとの見方を補強するものだった。米国内では設備投資と生産性の伸びが期待外れのままで、国際的には余りにも多くの国が構造的・政治的に複雑な逆風に見舞われる中で、これは朗報といえる。一方で、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合には、より曖昧な意味合いを持つ。

  入り交じった内容の8月の雇用統計を受け、米金融当局者は困難な立場に置かれている。データは9月の利上げを確実にするほど、一様に強いものではなかった。他方で、1回の利上げに向けた信頼すべき論拠となるには十分堅調な内容であり、超低金利の長期化によって引き起こされる意図せぬ影響や付随的被害への懸念の高まりを踏まえれば、特にそのように受け止められる。

(エラリアン氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:A Mixed Jobs Report for Fed to Argue Over: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE