ANA:機材トラブルで英ロールス・ロイスに補償請求へ-関係者

更新日時
  • 金銭補償でなく、購入部品の割り引きや譲渡という可能性も
  • 欠航便は9月前半に続き、後半も機材のやりくりなどでゼロと発表

航空機のエンジントラブルで8月に国内線18便の欠航を余儀なくされた全日本空輸(ANA)は、原因となったエンジンの製造メーカー、英ロールス・ロイスに費用の補償を請求する方向で検討中だ。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

  うち1人によると、補償の形は未定だが、金銭でなく将来購入する部品の割り引きや譲渡となる可能性もあるという。ANAは8月25日に発表した9便の欠航による損失は約5500万円としており、これまでに発生している18便だと、単純計算で1億円超。別の関係者によると、これに交換用の部品代や代替機の費用などが上乗せされる。

ANAのB787型機

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  ANAは、問題のあったロールス・ロイス製エンジンを搭載した米ボーイング787を50機保有している。8月20日に羽田-宮崎便で、エンジン内部の「中圧エンジンブレード」と呼ばれる羽根状の部品が腐食し、破断していることが明らかになった。25日に記者説明を行ったANAの整備センター、菊池武夫副センター長によると、ブレードの加工に不良があり想定より短期間で破断しやすくなっているという。2月にクアラルンプール発成田行き、3月にハノイ発羽田行きのB787でも同様の問題が起きていた。

  菊池氏は「ロールス・ロイスから正式な謝罪はないが、デザインが悪いことは認めている」と、30日の記者説明会で明らかにしている。「一般的に考えて、デザインに起因しているようなものについては補償交渉に発展しているので、今回もそのようなものになると思う」と述べた。

請求費用の内訳

  関係者によると、ANAがロールス・ロイスに請求する可能性のある費用は4種類に分けられる。①交換のための新たな部品(ブレード)代、②欠航に伴う顧客への払い戻し、③欠航を回避するために投入した大型機との燃料費の差額分など、④改修にあたる整備士の残業代や配置換えの乗員の人件費だ。

  ANA広報担当の伊藤真帆氏はロールス・ロイスへの請求について「現時点では何も決まっていない」と述べた。

  一方、エンジントラブルによる欠航便の本数は抑えられる見通しだ。発覚当初は1日10便程度の欠航が当面続くとしていたが、機材のやりくりなどにより9月前半は欠航便がない予定だと8月29日に発表しており、後半についても9月6日、欠航は出ないと発表した。複数の関係者によると、訓練用の大型機であるB777や9月に受領する2機のB787を活用する。10月以降については、決まり次第公表する。

  ANAでは改修を進めており、1機あたり2基のエンジンを搭載しているため対象は100基。ただ菊池氏によると、交換部品も現時点では加工に不良があり、ロールス・ロイスから改良されたブレードが届くのは来年初めの予定で、全ての改修が完了するのは2019年末としている。ANAは11年にB787を航空会社として世界で最初に受け取り、定期便に就航させたが、13年1月にバッテリー関連の不具合が発生し、ANAをはじめとした各航空会社が同型機の運航を取りやめたことがある。

  ANAの親会社、ANAホールディングスの株価は6日、取引開始直後に一時前日比0.7%安となった後、同0.3%高の286円で取引を終えた。

(9月後半の欠航なしの正式発表を受けて、第7段落を更新します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE