ソフトバンク格下げ警戒、債務増でムーディーズ-英社買収完了

更新日時
  • 債務・EBITDA倍率5.5倍超が格下げ目安、3月は5倍:MDY
  • 英社買収資金約3.3兆円は借り入れと現金で賄う:ソフトバンク

Softbank store in Tokyo.

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

英半導体設計会社アーム・ホールディングスの買収手続きを5日に完了するソフトバンクグループは、債務がさらに膨らむ。その水準はムーディーズ・インベスターズ・サービスが格下げを検討する警戒領域に近づいている。

  ソフトバンクの有利子負債は3月末で11兆9224億円あり、債務の対EBITDA(利払い・税金・ 減価償却・償却控除前利益)倍率は5倍に上る。英社買収資金の約3兆3000億円は借り入れと手持ち現金で賄うので、債務はさらに膨らむ見込みだ。ムーディーズは同倍率が恒常的に5.5倍を超えれば、「格下げのトリガー」になる可能性があるとしている。ムーディーズによる格付けは投機的水準の「Ba1」。

  ムーディーズの柳瀬志樹アナリストは英語でのインタビューで、ソフトバンクの同倍率が「想定より高くなるため、信用力には比較的ネガティブな影響がある」と指摘。同倍率が5.5倍を超えても即座に格下げにつながるわけではないものの、その状態が続けば格下げの可能性は増え、「ソフトバンクが今後数年でレバレッジをいかに減らせるか、注視しなければならないだろう」という。

  同社は18年末までに1.7兆円超の社債償還を控えており、9月には資本性のある個人向け劣後債3500億円を発行するほか、機関投資家向けに追加発行のマーケティングを行っている。同社の株価は上昇し、債務保証コストのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も低下しているものの、ブルームバーグ・デフォルト・リスク・モデルによれば、信用力は悪化している。

  ソフトバンクの小寺裕恵広報担当は、格付け変更の可能性についてコメントを控えた。

格付け会社で見解割れる

  ムーディーズ以外では、日本格付研究所(JCR)が投資適格の「A-」、S&Pグローバルレーティングが投機的等級の「BB+」をソフトバンクに付与している。

  JCRとS&Pは、同社が発行する劣後債で調達した資金の50%を資本に算入するとしており、S&P主席アナリストの吉村真木子氏は、債務の対EBITDA倍率も格付評価上で回復する見込みだと語った。JCRも、傘下のスプリントの収益向上や国内通信事業の堅調さ、劣後債の発行などを挙げて、「Aー」の格付けを再確認している。

  これに対して、ムーディーズの柳瀬氏は投機的等級の企業に対して、劣後債の資本算入には「高いハードルがある」と語った。同氏は、劣後債について「資本構造上、返済順位の低い証券を発行しているのはよいことだが、いずれにせよ債務の一部だ」とし、「全体としてレバレッジを増すので、信用上はネガティブだ」と指摘する。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE