【債券週間展望】長期金利低下か、日銀緩和姿勢の確認が上昇に歯止め

  • 今までカーブ押し下げたのが何だったのかと言うことになる-岡三証
  • 国内投資家がどこで買いを入れるのかが重要-JPモルガンAM

来週の債券市場では長期金利の低下が予想される。金融政策に対する不透明感から超長期ゾーンを中心に利回り上昇が続くが、日本銀行の黒田東彦総裁と中曽宏副総裁の講演で金融緩和姿勢が確認されれば、利回り上昇に歯止めがかかるとの見方が出ている。30年債入札は投資家需要の強さを確認する上で注目されている。

  10年物国債343回債利回りは、8月31日に付けたマイナス0.085%からマイナス0.06%まで上昇して1日の10年債入札を迎えた。入札結果は予想を上回ったが、超長期ゾーンの売り圧力を受けて利回り低下も一時的。2日は超長期債の大幅続落を受けて、新発344回債利回りがマイナス0.02%と3月16日以来の高水準を付けた。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「市場では日銀の3次元緩和にスポットが当たり、20年ゾーンくらいまでは相場が戻っていく可能性がある。30年債は弱い入札になるリスクがある一方、5年債入札は日銀の追加緩和期待から相対的にしっかりで無難か」と指摘。黒田総裁の講演については、「3次元緩和に限界がないことや金利低下のポジティブな効果を強調するだろう」と予想する。

  今週の超長期債相場は大幅下落。新発20年物157回債利回りが0.42%、新発30年物51回債利回りは0.52%、新発40年物9回債利回りは0.57%と、いずれも3月下旬以来の高水準まで達した。三菱UFJ信託銀行資金為替部商品課の鈴木秀雄課長は、「日銀会合で長期国債の買い入れがどうなるかという不透明感が重し。40年債の発行増への警戒も根底にある」として、「金利の上昇のめどに対する感覚がつかみづらくなっている」と言う。

日銀正副総裁の講演

  日銀の黒田総裁は5日、中曽副総裁は8日に講演を行う予定。岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀にイールドカーブを立たせたい意図があったとしても、それをはっきり言うことはない上、今までカーブ全体を押し下げてきたことが何だったのかと言うことにもなる。住宅ローン金利にも影響が出る」と指摘し、「金融緩和姿勢が緩むことはなく、むしろ強化する方向をにおわせる。超長期債利回りの上昇にも歯止めがかかる」と予想する。

  財務省は6日に30年国債入札を実施する。発行額は前回と同額の8000億円程度。償還日が前回債より3カ月延びて回号が新しくなる。表面利率は前回債の過去最低0.3%から引き上げられる可能性がある。8日には5年国債入札が予定されている。発行予定額は前回と同額の2兆4000億円程度。表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、30年債入札について、「証券会社は金利上昇やテーパリング観測で不安感が出ているが、プラス利回りが残っているゾーンなので、国内投資家がどこで買いを入れるのかが重要」と指摘。5年債入札について、「日銀がマイナス金利政策をやめないのであれば、現在の金利水準は低過ぎることはない」と言う。

市場関係者の見方
*T
◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*米金融政策を占う上で重要な8月の米雇用統計は若干弱い結果になるのではないか
*こうした結果を受けて、市場では日銀の3次元緩和にスポットが当たる
*長期金利の予想レンジはマイナス0.08%~ゼロ%

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
*ドル・円相場の動きで超長期ゾーンは振らされやすい。米金融政策の見通し次第
*2年債と10年債の入札がしっかりだったことから、5年債入札は無難か
*長期金利の予想レンジはマイナス0.08%~ゼロ%

◎BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジスト
*30年債入札が弱くて投げが出たりすると10年債利回りは一時的にプラス圏も
*超長期ゾーンの日銀買いオペが入り、州後半には市場も落ち着いてくる
*長期金利の予想レンジはマイナス0.07%~プラス0.03%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*投資家の慎重姿勢で利回り低下余地は限られるが、下値不安は小さい
*30年債入札は無難に消化。生保・年金資金の安定的な買い続いている
*長期金利の予想レンジはマイナス0.07%~ゼロ%
*T

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