自民党:GDP統計見直しへプロジェクトチーム設置-数値上振れ

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  • 座長に林芳正氏、年内に提言-ネット上の経済活動なども反映
  • 財政政策や金融政策に影響、消費伸び物価上昇も-林氏

自民党は国内総生産(GDP)の推計方法について検証するプロジェクトチームを今月中にも政務調査会に設置する。座長には林芳正・元経済財政政策担当相が就任し、年内をめどに政府に提言を提出。GDPの押し上げにつながる見通しだ。林氏が1日、ブルームバーグのインタビューで明らかにした。

  林氏は、内閣府のGDP統計と税収ベースの試算値との間にかい離が生じている点を問題視している。現行GDPはインターネット上の経済活動などを十分に反映できていないとして、「実態に合う推計をする必要がある」と語った。見直しに当たっては「上方修正要因の方が多い」と述べ、数値が上振れる可能性を示した。

林芳正氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg *** Local Caption *** Yoshimasa Hayashi

  日銀は7月、税務データを基にGDPを推計すれば2014年度の実質経済成長率は2.4%増になるとするリポートを公表した。支出を基にした内閣府発表の同年度数値は0.9%減だった。黒田東彦総裁も同月の経済財政諮問会議で「税収は良いが、GDP推計が予想より下がっているのは違和感がある」と疑問を呈していた。

日銀の税務データを基にしたGDP推計の記事はこちら

  林氏は税務データの確定値が出るまでには時間がかかるため、現行のGDPに代わる推計として用いるのは難しいとしながらも、現行GDPが実体経済を反映しているかどうかを後から確認する材料として活用するべきだと話した。四半期のGDP推計の基礎統計となる家計調査や法人企業統計なども検討対象となる見通し。

金融政策にも影響

  また、林氏は、GDPの見直しは景気情勢に基づいて判断する財政政策のほか、金融政策にも影響を与えると指摘。見直しでGDPの上振れも想定されることから、「消費者マインドが改善すれば消費が伸びる。消費が伸びれば物価も上がる。金融政策もそれに対応して変わっていく」と説明した。

  GDP見直しについては麻生太郎財務相が昨年10月の諮問会議で家計調査や毎月勤労統計などの基礎統計を充実させる必要があると問題提起。消費者物価指数についても、拡大しているインターネット市場で家電などのネット販売価格が加味されていないと指摘していた。

  安倍晋三政権はアベノミクスによるデフレ脱却を掲げたが、発足から3年半が経過した足元の経済は一進一退を続けている。政府・与党内には日本経済の回復がGDP統計上に明確に現れていないとの不満も根強い。日銀も独自の消費者物価指数や消費活動指数の公表を開始し、経済実態に迫る取り組みを強めている。

  林氏は2019年10月に予定されている10%への消費増税を控え、「より実態に近い数字をもって判断する環境を整えることは大事だ」として、早急にGDP推計の検証を進める必要を強調した。

  第一生命研究所の永浜利広主席エコノミストは、GDPの見直しにより、個人消費と雇用者報酬の上方修正が予想されるが、日銀公表のリポートほどは大きくならないとの見方を示した。また、短期的な政策への波及効果は少ないとした上で、「将来的には出口戦略や消費増税の時期が前倒しになる可能性はある」と述べた。

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