1日の東京株式相場は続伸。金利上昇観測を背景とした海外の金融株高、収益環境の改善期待などから銀行株が軒並み高い。為替の円安傾向も投資家心理面でプラスに働き、自動車株の一角も堅調。直近で弱い動きが目立った医薬品や小売、食料品株など内需セクターも見直された。

  TOPIXの終値は前日比7.84ポイント(0.6%)高の1337.38、日経平均株価は39円44銭(0.2%)高の1万6926円84銭。

  ニッセイアセットマネジメントの西崎純チーフ・ポートフォリオ・マネジャーは、「米国中心に先進国の景気基調は回復傾向にあり、10ー12月の世界景気は7ー9月より良い状況になるだろう」と指摘。マーケットでの米利上げムードは今後確実に高まり、「米長期金利の上昇から円高リスクは後退し、日本株はさらに戻りが期待できる」と話した。ただし、日本株は累積出来高の多い高値近辺の関門まで上昇しており、「ここからはトップギアでは登り切れず、セカンドかローに落とす必要がある」とも言う。

東証株価ボード
東証株価ボード
Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg

  給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートが8月31日に発表した8月の米民間部門の雇用者数は、17万7000人増加した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は17万5000人増。前月は19万4000人増(速報値17万9000人増)に上方修正された。エコノミスト予想では、8月の米雇用統計における非農業部門雇用者数は18万人増の見込みだ。7月は25万5000人増。

  米金利先物市場が示す9月の米利上げ確率は31日に36%へ小幅上昇。同日の海外為替市場では、ドル・円は一時1ドル=103円50銭台と7月29日以来のドル高・円安水準を付ける場面もあった。きょうはおおむね103円台前半で推移、日本株の前日終値時点は103円11銭だった。

  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「米国は緩やかな景気回復が続いている中、賃金は直近の景気循環ほどの上昇は示していないため、企業は幅広く雇用できる環境にある」と言う。その上で、雇用統計で非農業部門雇用者数が「20万人程度増加するようなら、9月利上げが現実味を帯び、為替レンジがこれまでの1ドル=100-105円から105-110円へ変化する可能性がある」との見方を示す。

  業種別では、前日に続き銀行株の上昇が目立った。メガバンクに加え、きょうは百十四銀行や愛知銀行、十六銀行、百五銀行など地銀株が東証1部の上昇率上位にランクイン。根強い金利上昇観測から、31日の米国株市場ではS&P500種の業種別10指数で金融は0.1%高と堅調だった。ニッセイアセットの西崎氏は、「マイナス金利導入後の超アンダーパフォームによるテクニカル的な反発に加え、日米の長期金利底打ちや日銀が9月にイールドカーブをスティープ化させる方向へ政策を持っていくとの観測から、将来の事業環境改善の期待が重なっている」とみる。

銀行株指数を構成する87銘柄中、84銘柄が上昇
銀行株指数を構成する87銘柄中、84銘柄が上昇
Bloomberg data

  ただし、午前の取引ではTOPIX、日経平均とも一時マイナスとなる場面があったほか、セクター間でもまちまちの傾向がみられるなど明確な方向性も見いだしにくい9月相場の初日だった。日経平均は、8月12日の日中高値1万6943円を前に足踏み。東証1部の売買高は18億4374万株、売買代金は1兆9541億円とともに前日から1割以上減った。値上がり銘柄数は1182、値下がりは656。

  大和証券投資戦略部の高橋和宏株式ストラテジストは、「雇用統計が悪くなさそうとの期待感を為替市場は1ドル=103円台半ばまでの円安で織り込んだ。日本株もきのうの段階でかなり期待を織り込んでいる」と話していた。

  • 東証1部33業種はその他製品、銀行、水産・農林、医薬品、その他金融、パルプ・紙、小売、鉄鋼、食料品など25業種が上昇。鉱業や保険、ガラス・土石製品、機械など8業種は下落。鉱業は、在庫増加を材料に31日のニューヨーク原油先物が続落したことが響いた。

  • 売買代金上位では任天堂や三菱UFJフィナンシャル・グループ、村田製作所、日産自動車、セブン&アイ・ホールディングス、オリックス、アルプス電気、武田薬品工業が高く、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が投資判断を上げたクラリオンは急伸。ファナックや東京海上ホールディングス、TDK、信越化学工業、トクヤマ、ブイ・テクノロジー、JPモルガン証券が投資判断を下げたマキタは安い。
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