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「現金社会」日本で存在感高める電子マネー、取扱額は2桁成長

更新日時
  • 米アップル、IC乗車券機能搭載を計画、交通系電子マネーに参入
  • 利用者はポイントや割引サービス、店舗は現金管理コストにメリット
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電子マネーの存在感が高まっている。その利便性から、同機能を備えたカードやスマートフォン(スマホ)の普及とともに、駅やスーパーマーケット、レストランなど使える場所も拡大中だ。「現金社会」と言われた日本に電子マネーが決済手段として定着しつつある。

  日本クレジット協会などの調べによると、2015年の電子マネーの取扱高は前年比16%増の約4兆6000億円。現金に代わる他の決済手段では、クレジットカードが同7.7%増の約49兆8000億円、デビットカードは7.7%減の約4300億円で、伸び率では電子マネーが突出している。

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  こうした中、米アップルがスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に日本の公共交通機関で運賃を支払うことのできる新機能を搭載する計画が明らかになった。現在はSuicaとPASMOが主要プレーヤーで、駅や周辺の商業施設にとどまらず、使える場所を増やしている交通系決済市場に参入することになる。

  コンサルタント会社ユーロテクノロジー・ジャパンのゲルハルト・ファーソル社長は、日本の電子マネーは「大きく成功している」と評価。利便性が高く、ポイント・割引サービスなどが利用を促しており、レストランなど店舗側も「現金管理を減らすなどコスト削減できるメリット」があり、普及は続くとみている。

  大学生の青野仁美さん(21)は、電子マネーは便利だが「お金として使った気がしない」と話す。毎月1000円ほどをSuicaにチャージしてコンビニや自動販売機で商品を買っているという。社会人になったら「もっと活用するかも」と述べた。

まだ「現金が一番便利」な日本

  しかし、日本のキャッシュレス決済比率は世界の中ではまだ低い。日本クレジット協会の15年版統計によると、民間最終消費支出に占めるクレジット、デビット、電子マネー合計の比率は17%で、韓国の85%、シンガポールの56%、インドの35%などを大きく下回る。米国はクレジット、デビットの合計で40%を超える。

  調査会社セレントの柳川英一郎シニアアナリストは、日本が現金社会なのは「一番便利で不自由がないから」と指摘する。街中に最新式のATM(現金自動預払機)があり、お釣りを間違われることも少ない。安心して財布を持ち歩ける治安の良さも背景にあるという。

  少額決済が中心の電子マネーについて柳川氏は、スーパーや鉄道会社などが発行・運営するものは「消費を促したり、利用頻度を高めることで総合的にメリット」があり、取引拡大の余地はあるとみている。それ以外の加盟企業や店舗にとっては決済手数料の支払いが普及の足かせになる可能性を指摘した。

  交通系電子マネーに限らず、電子決済ビジネスをめぐってはIT企業などが日本で市場拡大に向け提携などの動きを活発化させている。米グーグル三菱UFJフィナンシャル・グループと提携し、日本でスマホを使った決済サービス「アンドロイド・ペイ」を始める計画だ。

(第8段落に専門家の見方を追加しました.)
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