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債券上昇、米債反発や2年入札順調-超長期債下落転換でスティープ化

更新日時
  • マイナス金利の深掘りはあっても撤廃はないとの見方-三菱モルガン
  • 不透明感は残っており、相場全体が上に行くほどでもない-岡三証

債券相場は上昇。前日の米国債相場の反発を受けて買いが先行し、予想を上回る2年国債入札結果を受けて中期債を中心に買いが優勢となった。一方、超長期債相場が下落に転じるなど前日に引き続き軟化し、イールドカーブはスティープ(傾斜)化した。

  30日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比9銭高の151円52銭で取引を始め、一時151円58銭まで上昇した。午後は151円46銭まで上げ幅を縮める場面もあったが、結局は8銭高の151円51銭で引けた。

長国先物の日中取引推移

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.08%を付けたが、マイナス0.07%に戻す場面もあった。2年物367回債利回りは一時2.5bp低下のマイナス0.21%、新発5年物128回債利回りは1bp低いマイナス0.19%まで下げている。

  一方、超長期ゾーンでは、新発20年物157回債利回りが1bp低い0.285%で始まったが、午後は0.315%と9日以来の水準まで売られた。新発30年物51回債利回りは一時2bp高い0.395%と10日以来、新発40年物9回債利回りは0.5bp高い0.445%と12日以来の高水準となった。

  みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「長期ゾーンまでは想定内の動き。やはり米国金利は上昇しにくいことが再認識された。2年入札結果を受けて短中期ゾーンもしっかり」と指摘する一方、「前日の日銀オペ結果が弱かった20年や30年など超長期は全体的に軟調で、引き続きスティープ。月末の買いが期待される一方、9月の日銀会合を見据え、早くも来週以降の入札が視野に入っている可能性もある」と言う。

  29日の米10年物国債利回りは前営業日比7bp低下の1.56%程度と26日の上昇分を消し、30日のアジア市場では1.58%程度で推移している。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受けて早期利上げ観測が高まったものの、市場は9月2日に発表される8月の米雇用統計を見極める姿勢に転じている。

  財務省が午後に発表した2年国債(368回債)の入札結果によると、最低落札価格は100円58銭5厘(利回りはマイナス0.191%)と予想を1銭上回った。小さければ好調なテール(平均と最低落札価格の差)は4厘と、1998年12月以来の大きさを記録した前回の6銭から大幅縮小。投資家需要を反映する応札倍率は4.44倍と前回の3.95倍から上昇した。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「2年債入札では、利回りが上昇したので、応札倍率も前回から改善し、市場予想より高いところで順調に消化された。今年度で一番高い利回り水準」と話した。日本銀行が「総括的な検証」を明らかにした7月末の金融政策決定会合以降、2年債利回りも大幅に上昇していた。

先行きの金融政策

  日銀の黒田東彦総裁は27日、ジャクソンホールでの講演で、マイナス金利政策について、「制約が存在すると考えるのが自然」としながらも、現在のマイナス0.1%はそうした制約からは「まだかなりの距離がある」と指摘し、量・質・金利のいずれについても「追加緩和の余地は十分にある」と述べた

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「黒田総裁は事あるごとにマイナス金利深掘り限界論を強く否定しており、やる時はやるんだろうと考えるのが自然」との見方を示し、「マイナス金利の深掘りはあっても撤廃はないとの見方がコンセンサスになってきた。短い年限を中心に買い材料だ」と指摘した。

  一方、岡三証の鈴木氏は、日銀の金融政策について、金融緩和を縮小するとの見方は後退しているものの、「先行きの不透明感は残っており、相場全体が上に行くほどでもない」と言う。

  日銀の黒田総裁は9月5日に講演する予定で、市場関係者の注目が集まっている。みずほ証の辻氏は、「発言で相場がどちらかに傾くことはあるかもしれないが、9月の日銀会合に向けて、前もって何かを織り込むということは基本的にはないだろう」とみている。

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