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ウォール街の強力支配に歯が立たず-米国債市場で命絶たれた新興企業

  • ダイレクト・マッチは銀行との提携迫られ、新規参入を断念
  • 対照的に米国株市場ではIEXが13番目の取引所をスタート

13兆ドル(約1330兆円)規模の米国債市場を牛耳る銀行に代わる選択肢となることを目指した新興企業ダイレクト・マッチ・ホールディングスは、1件の取引もアレンジできないまま企業生命を終えた。

  ダイレクト・マッチ(本社ニューヨーク)は、銀行や電子取引会社が長年独占してきた匿名の取引所形式のトレーディングシステムをヘッジファンドや資産運用会社に提供する意向だった。だが、米国債の決済を可能にするためには、これに現在携わる銀行のどこかと提携する必要があった。米銀ステート・ストリートは提携に当初同意したが、その後撤回し、ダイレクト・マッチの運命を決定づけた。

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提携を撤回した米銀ステート・ストリート

Photographer: JB Reed/Bloomberg News.

  米国債取引は引き続き銀行が支配し、競争相手になりそうな勢力を阻止できる。米国株市場はそのような状況にはなく、米IEXグループが米国で13番目となる米株式取引所をスタートさせて間もない。IEXが市場に切り込むのに、銀行と提携する必要はなかった。だが、世界を代表する資産の一つである米国債の市場では、ウォール街の大銀行が依然として幅を利かせている。

  「米国債市場の仕組みにもっと注意が払われない限り、新興企業はこの市場にイノベーションを持ち込むのに苦労する」と、ダイレクト・マッチの共同創業者ジム・グレコ氏はインタビューで述べた。同氏はビジネス・インサイダーが今月23日公表したエッセーで、テスト取引完了前に閉鎖した同社での悪戦苦闘を語った。インタビューではさらに、「当局と話した際には、市場へのアクセスを増やし取引所間の競争を促すために、中央決済システムの公正かつ一貫したルールを確立するように求めた」と説明した。

  ステート・ストリート広報担当のアン・マクナリー氏はコメントを控えた。

直接取引

  米国証券業金融市場協会(SIFMA)によると、毎日約5000億ドル相当の米国債が取引される。この半分弱がディーラーと顧客の直接取引であることが、昨年のニューヨーク連銀報告書で明らかになっているが、コンサルティング会社グリニッチ・アソシエイツによれば、この市場部分は取引高の60%を握る銀行5行に支配されている。10年前の割合は44%だったという。同社は銀行名を挙げていない。

  この直接取引では規模も価格もそのトレーディングに携わる参加者にしか分からないため、投資家の側では有利に取引されているのか分かりにくい。残る取引はICAPとナスダック、トレードウェブ・マーケッツの電子市場で行われる。ここでは、このシステムの利用者全てに取引の規模や価格が分かるが、その大半がウォール街のディーラーやジャンプ・トレーディングのような自動化取引を扱う会社だ。

  投資銀行ジェフリーズや高頻度取引会社ゲトコでの勤務経験があるグレコ氏は、これまでにはない取引プラットホームをつくろうと思っていた。金融危機後のウォール街への規制が、投資家や取引会社向けのプラットホームを築くチャンスを生み出したと踏んだのだ。だが、これを実現させるには取引を決済する方法が必要で、債券取引決済機関であるFICCに加わる必要があった。ダイレクト・マッチのような新興企業がそのためにクリアしなければならない資本やその他の条件は厳しく、このため銀行との提携が必要になった。

原題:Demise of Direct Match Shows Bank Death-Grip on Treasury Market(抜粋)

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